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「……なるほど、強い。そしてその力の源は、ポケモンへの優しさというわけだ」
アカギがポケモンをボールにしまった。
「もったいない。そんなものはまやかしだ。……見えないものは揺らぎ、消えてしまうものなのだ。死んでしまえば無くなるものだ。キミに絆されたウラヌスも、だから死ぬ」
それを聞いた瞬間、世界の時間が止まった気がした。
＿＿＿＿『存在価値を示さなければ、私はこの世に生まれた意味もなく死ぬことになる』
そう言った時の、ウラヌスの無機質な瞳。
「ウラヌスに何を……！」
「そんなに激昂するな。まだ死んでいない。だが、すべてを終わらせる……いや、すべてを始めたあと、ウラヌスは処分する」
ポケモンだけじゃない。人間でさえ、こいつにとってはただの駒でしかない。
今までにないほど冷たい感覚に、視界がぐにゃりと揺らぐ。
「湖のポケモン達を助けるなら、この先のワープパネルに乗るがいい。では、私はテンガン山に向かおう」
そう言って、アカギは部屋を出ていった。
言いたいことは沢山あった。でも、今は、ポケモンの解放が最優先だ──……。
＊
「……なんだこれ……」
ワープパネルの先には、緑の液体の中に何か丸い物体が浮かんでいる大きな瓶のようなものが陳列していた。
この組織は、何を創り出して、何を成そうとしているんだ？
「急がないと……」
廊下を走り、角を曲がると、ひとつの部屋が見えてきた。
あそこにエムリット達がいるのだと、なんとなくわかる。
部屋に入ると、部屋の奥にサターンがいるのが見えた。
走って奥まで行くと、サターンが驚いたように振り返る。
「……お前……。……ポケモンを助けるために、わざわざここまで？」
「当たり前だろ」
モンスターボールを構えると、サターンは首を振って「いつものことながらボスの考えはわからない」と呟いた。
「なぜこんな子供を自由にさせておくのか……？ 私たちギンガ団は必要なものを独占し、いらないものは捨てるだけ」
「それ、ここのエムリット達とか……ウラヌスのことか？」
ウラヌス。そう言った瞬間、サターンの眉がピクッとつり上がった。
「ウラヌスはどこだ。アカギが言ってた。全部終わらせたら処分するって……！！」
「それはお前が気にすることじゃない」
サターンがどこか苛立ちを含んだように言った。
……リッシ湖のときといい、こいつはウラヌスを話題に出すと、不愉快そうな顔をする。
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作者名：昆布の神
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時：2023年1月26日 20時
