氷の火山【サターン】【プラチナ】 (ページ23)

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コウキ side

「……これは……」

リッシ湖にたどり着くと、そこはもはや湖なんかではなくなっていた。

爆破によって湖の水が干上がり、湖に棲(す)んでいたコイキング達が苦しそうに地面の上で跳ねている。そして、ぼちぼちといるギンガ団の下っ端達。

湖の中央に洞窟を見つけ、そこに向かってひた走る。

洞窟の中に入ると、明らかに下っ端とは違う雰囲気の＿＿＿おそらく、幹部がいた。

今まで会った、マーズ、ジュピター、ウラヌスの誰とも違う。初めて出会う幹部だ。

「ミッションは順調。ボスも満足なさるだろう」

「おい」

苛立ちを込めて声をかけると、青い髪のギンガ団の幹部が振り返った。

初めてウラヌスと会ったとき、彼女はギンガ団の幹部はあと三人と言った。

そして、マーズ、ジュピターと会ってきたから、
こいつが最後の幹部……！

「……お前、ウラヌスの……」

男の口から出てきたウラヌスという単語に俺は反応して目を開く。

「ウラヌスはっ、今どこに……！」

「さあな。それよりお前、ハクタイのアジトに潜り込んできた子供だな？」

こんな子供に負けるなんてジュピターも情けないと仲間であるはずの幹部までついでに貶していく青髪(こいつ)。

マーズは火星。
ジュピターは木星。
ウラヌスは天王星だった。

なら、こいつは＿＿＿。

「私はサターン。ギンガ団をジャマするなら、どんな可能性でも潰す！」

サターン＿＿＿土星。

ふう、とひとつ息を吐いてモンスターボールを投げる。

ギンガ団を止めることはウラヌスを否定すること。
でも、こんな間違ったやり方を見過ごすなんて、俺にはできない。

＊

やることもなく、ただひたすら時間だけが止まることなく流れていく。

自由になりたかったAだが、結局ギンガ団が世界を壊してしまうのだから、自由になったところで意味などなかったかもしれない。
そう考えるとなんだか笑えてくる。

自分は何を追い求め、何に怯え、何に失望していたのだろう＿＿＿＿。

ただ、昔に戻っただけだ。

やりたいこともなく、死ぬのを待つだけの日々。
なのに、それなのに。

……どうして今は、こんなにも死ぬのが怖いのだろう。

壁にもたれかかって、今となってはどうでもいいことに考えをめぐらせていると、不意に薄暗い部屋の中に薄く光が差し込んだ。

「酷い顔だな」

頭上から降ってきた声に、Aは目線だけゆっくり上にあげた。