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高校卒業後、俺はブランコ監督に師事して単身アルゼンチンに渡った。


その数年後、まさか隣国のビーチで、
かつて春高予選で戦った烏野のチビちゃんと再会するとは思わずに……。







「俺は今アルゼンチンのリーグでプレーしてる」



久々に会ったチビちゃんこと日向翔陽にそう告げると、彼はなんでアルゼンチン? と。曰くイタリアに行ってそうと。わかる。俺ってイタリア超似合いそう(行ったことないけど)。



「まぁ、そもそも日本を出るってこと自体悩んでたんだけどさ。結局全国に一度も行けなかったし。
でも、高校時代の同級生に、これから何でもできるのにって、愚痴なら聞いてやるから満足できるまでやればいいって言われてさ」

「青城のエース……岩泉さんとかに言われたんじゃないんですか?」

「岩ちゃんにも激励はもらったけどね!
……女の子だよ。高校三年間、同じクラスだった女の子。
その子は好きなことやって生きたいって、今日本一周の旅出てるらしい」

「へーっ! 楽しそうですね!」

「うん、楽しく生きてるんだろうね」



あの子、瀬峰(せみね)Aちゃん。
元々ブランコ監督に相談はしに行っていたが、あの子に言われたことが結果的には不安の全てを払拭して、消し去ってくれた。

あの子からは、高校を卒業してから一度も連絡が来ていない。しても返ってこない。
日本一周は、マッキーからの連絡で聞いただけの話。


学生時代は色んな女の子と付き合った。
でも、どの子とも長続きはしなかった。

Aちゃんとは一番よく話していた。
気楽で能天気な雰囲気と、飾りっけがなくてどこか女の子らしさがなく、よく悪態をついてきたけど、話すのは楽しかった。

大人になった今だからわかる。


俺は、本当はAちゃんが好きだった。

傍にいたのが当たり前で、感覚が麻痺して本当の想いに気づかず、彼女とはもう何年も会っていない。


この麻痺した感覚では、今も彼女が好きなままか否かさえわからない。


でも、もしもまた会えたなら俺は、彼女に世界で全員倒す俺を見せたい。

もっと欲張った話をするなら、Aちゃんがいてくれて良かったと伝えたい。


君のそばが一番心地よかった。

適当に生きたい。そう言っていた君。
その望み通り、好きな場所に行って、好きなことをやって、悠々自適にのんびり過ごして欲しいと願っている。


それが、Aちゃんらしさだと思うから。
そんな君が、きっと一番素敵なんだろう。

。→←た



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hwjIN___(プロフ) - 厳島神社は広島です泣 (2023年2月25日 20時) (レス) @page2 id: a610b7465a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:昆布の神 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/  
作成日時:2023年1月23日 22時

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