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「まさかお前が
「はい……」
暫くしてようやく監督が来てくれた。
怖いと評判の監督も、何故か今だけは安心できる。
今だけは。
「何故青城に行かなかった? 北一の奴らも大勢いるだろう」
あの日、既に道は分かれていて、道が交わることない。でも、少しだけ、期待したことがある。
もしも、分かれた道のその先があるのなら。
もしかしたら、もう一度。
「私も大概バレー馬鹿だから……だと思います」
結局、どこまでいってもバレーボールからは離れられない。
初めて見た日から、ただ執拗にそれだけを追い続けて、まるで依存のように周りに取り巻いて、そしてそれを掴んで離さない。
*
入部届の期限は一週間と言われた。
来週の月曜日まで。
人付き合いが苦手で、うまく話せなくて、ビビり散らかして、相手を不快にさせてしまう私の悪癖。
北一のときも、部員と打ち解けるには大分時間がかかった。その上、私には更にとある欠点がある。
昔から何に対しても無頓着だった。
飽き性で何をやっても長く続かないし、習い始めたピアノや新体操は半年も経たずやめて、その理由は “飽きたから” 。飽きて、つまらなくなったから。
口下手で言葉をうまく選べず、人見知りで引っ込み思案で無愛想だから、小学校中学校と通して、友達が中々できなかった。
話しかけられてもどう言ったら、どうしたら相手の機嫌を損ねずに済むのかばかりを考えて、ちゃんと応えられないから、結局みんな離れていってしまう。
自分から話しかけに行くなんて以ての外。
できるわけがなかった。
北川第一中学校。
バレー部を始めとして、運動部が強い学校だった。
周りの皆が部活動に入部していく中で、どうせ飽きるし、人間関係も面倒くさくて、結局仮入部さえどこにも行かないまま四月が終わった。
すべての始まりはゴールデンウィーク明け。
昼休み、図書室からの帰りに及川さんに声をかけられた。
『君! ……そう、そこのボブの子! 葉山Aちゃんで合ってるよね?』
『そうですけど……』
『良かった良かった! 男子バレー部の及川徹です。バレー部のマネージャー探してるんだけど、良かったら見に来ない?』
そう言って渡されたのは、今年の四月にも使っていたのであろう勧誘ポスターだった。
『私、なんで知られてるんですか……?』
まず疑問だったのがそれだ。私が、なんでこんなにイケメンな人に知られているのか。
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昆布の神(プロフ) - リオンさん» ありがとうございます。こちらこそ嬉しいです🥰 頑張りますね! (12月31日 7時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
リオン(プロフ) - 昆布の神さん» 返信ありがとうございます🤗ちょっとした共通のことがあって嬉しいです🤭これからも楽しみに小説を読み進めていきます🫶🏻 (12月30日 23時) (レス) id: bb474d7fe4 (このIDを非表示/違反報告)
昆布の神(プロフ) - リオンさん» コメありです。めちゃくちゃ読み込んでるというわけではないのですが、実は少し嗜んでおります……笑 (12月30日 22時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
リオン(プロフ) - 俺でなきゃ見逃しちゃうね。笑笑 もしかしてHUNTER×HUNTERお好きですか?😎 (12月30日 15時) (レス) @page43 id: bb474d7fe4 (このIDを非表示/違反報告)
昆布の神(プロフ) - YUKIさん» コメありです。北一メンバー了解です(たぶん過去回想みたいな感じになるかもしれません)。楽しみにお待ちください! (12月17日 20時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:昆布の神 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時:2023年12月5日 22時