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「勝つため、守るため、助けるため……。
理由は様々でも、人間はポケモンに新たな力と強さを求める。そしてそれにポケモンは応えてくれる。それはメガシンカもZ技も同じ。
だけど、たとえば同じ
「ハカドッグとかは覚えないよね。だからハカドッグには草タイプを扱う器官はないと言える」
「そう。でも、ハカドッグが草タイプにテラスタルして、テラバーストすれば本来扱えないはずの草タイプの技が使えるようになる。こういうのって少しおかしいと思う」
「生物的に矛盾が生じるから?」
「……メガシンカとかは、DNAの存在が大きく作用していると考えてる。かつて……たとえば古代のチルタリスはフェアリータイプだったから、メガシンカしたらフェアリータイプになるし、その名残故に、素の状態でも
Aが目を伏せて淡々と話していく。
……自分のチルタリスは、氷タイプにテラスタルする。チルタリスは冷凍ビームを技マシンで覚えられるため、元より氷タイプの技を扱える器官が存在する。
だがしかし、先程のミミッキュとハカドッグを例に出されては、話は別だ。
「テラスタルすることで、ポケモンの身体に害を与えたという報告が無いなら、テラスタル自体は危険な行為じゃない。でも、論理的に説明できないものを信じるのは駄目だって、フ……誰かが言ってた」
「ふぅん……。ぼくにはそういうのよくわからないけどさ。……なりたい自分になれるっていうのは、ぼく的にテラスタルの好きなところだよ」
そう言うと、Aが何かに気づいたように顔を上げた。そして、何も言わずに目を開いたままぼくのことをじっと見てくるので、気まずくなって目を逸らす。
「なりたい、自分……」
Aが小さく呟いた。彼女の言葉の真意は、きっと誰にも分かり得ないだろう。
だって今のAの目は、昔から意味不明な行動を繰り返し続けたあの目と、同じ色をしている。
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作者名:昆布の神 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時:2023年2月25日 23時