第百六十六話 ページ25
殺されると思ったのだろう。白石は私の手を振りほどき飛び降りようと試みるが、必死に力を入れて白石を抑えつけた。
「白石待ってッまだ話は終わってないッ！！」
私がそう叫ぶと、杉元さんは懐から折りたたまれた一枚の紙を取り出す。それを見た白石は目を見開いた。
「あ…！！それはッ」
「白石が札幌で牛山に手渡した辺見和雄の入れ墨の写しだ。土方歳三が俺に見せてきた。確認してみたが……」
杉元さんが手を離すと、紙は風に乗ってひらりと落ちていく。
「デタラメの写しだった。白石は俺たちを裏切ってなかった」
彼は顔を一気に明るくすると、いつもの無邪気な声で調子を取り戻していく。
「そうッその通り！！言ったはずだぜ、俺はお前らに賭けるってな！！」
「それにナマエは白石が裏切り者だって最初から勘付いていたが、ずっと白石のことを守ろうとしてたぞ」
アシリパさんから放たれたその言葉に体がぴしりと固まる。そして顔が、耳が徐々に熱を帯びていくのを感じた。
「ちッちがッ……だって白石がいないとアシリパさんはのっぺらぼうに会えないしッ」
「白石がいない時に白石の夢を見て泣き出してたぞ」
杉元さんの語弊のある発言を聞くと、白石はニヤニヤしながらゆっくりと私の顔を見た。
「ええ〜なにぃ？Aちゃんそんなに俺の事心配しててくれてたのぉ〜？」
「違うッ！杉元さんも語弊のある言い方しないでくださいッ！！」
「確かに、ここ最近のナマエは落ち着きがなかったからな」
口をぱくぱくさせていると、全員の生暖かい視線が刺さる。どうにもこの空気に耐えられる気がしない…！
「…そーだよ」
「へ？」
「白石がいなくてすっごく寂しかったし……それに、私だけが勝手に懐いてるだけかとか思ったら、怖かった……」
自分の素直な感情を誰かにさらけ出したのはいつ以来だろうか。兄がいた時のような安心感を、私は無意識に彼らに求めていたのかもしれない。また少し泣きそうになった顔を隠すように立ち上がり、また変な冷やかしを向けられたくないがために再び口を開いた。
「とにかく、網走までは無理やりにでも白石を連れて行くつもりだからな！覚悟しておけっ」
面白がられているのが癪だが、三人の嬉しそうな微笑みから逃げるように瞬時に目をそらす。
「でも牛山がこの場にいなくて良かったな。旭川製の特大ストゥで白石の肛門を破壊するって言ってたぞ」
「やだあッ」
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ほほいほい(プロフ) - 烏羽さん» ありがとうございます。コメントを頂いたのが初めてなので嬉しい限りです。これからも応援していただけますよう精進いたしますので、どうかよろしくお願いいたします…！ (2021年9月26日 21時) (
レス) id: a999479a6f (このIDを非表示/違反報告)
烏羽(プロフ) - 思わず一気読みしてしまうぐらい最高でした！応援してます！ (2021年9月26日 19時) (レス) id: 9dd84298a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ほほいほい | 作成日時：2021年9月22日 23時
