【金カム】男装剣士の少女と金塊探し (ページ4)

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第二話ページ4

「近藤A…たしかにアイツからその名前をたくさん聞いた。」

　「杉元、知っているのか？」

　アシリパがそう質問すると、杉元は彼女に向けて柔らかい笑みを向ける。

　「直接知り合ったわけじゃないけど、その様子だとお互いのことはよく知ってるみたいだな。」

　杉元が警戒を解くと、Aは少し動揺したような顔を見せる。

　「私の事を、信頼してくれるのですか？」

　「まあ、何だ。その顔、すごく久太郎に似ているよ。それにお前の話はよく聞いていたよ。」

　そう言うと、Aの顔が凍てつくような無表情から、とても暖かい笑顔へと変わった。

　「杉元さんが兄のことを覚えていてくれていたとは…嬉しい限りです。兄の一方的な物だと思っていましたから。」

　こうして笑うと、まるでただの年相応の少女のようだ。

　そんなことを思いながら共通の人物の話に花を咲かせようとしたところ、間抜けな音が聞こえてきた。どうやら音の元はアシリパからのようで、どうやら腹を空かせてしまったらしい。

***

　「このあたりの山には私が作った狩猟小屋がある。安全のために寝床は毎日かえた方がいい。毎日同じ巣穴に戻る獲物を捕まえるのは簡単だ。」

　アシリパに案内され、雪道を進んでいく。直ぐそばに川が流れているため、気をつけて進んでいく。この真冬に川に飛び込んでしまったら助からないだろう。そんなことを考えていると、アシリパはAへと視線を向ける。

　「ナマエ…だったか？さっきの男と戦った時、刀の速さが尋常じゃなかった。銃を持っていないし、狩猟をやっている感じではなかったが、どうやって身に付けたんだ？」

　「…祖父が、とても腕の良い剣士だったんです。その祖父に憧れて、兄とよく一緒に練習していました。」

　杉元も、久太郎からの話を思い出す。自分が生まれた時にはもう祖父は亡くなっていた。そしてその祖父がかなり腕の立つ武士で、妹とよく稽古をしていたという話を。

　「俺に会いに来たって言っていたが、あの時偶然見つけたのか？」

　あの時…というのはおそらく兵隊と戦った時のことだろう。それを聞くとAは静かに首を横に振った。

　「いや、街で見つけました。」

　それを聞いて二人はひどく驚いていた。あの刺青の男の気配は分かりきっていたのに、彼女の気配には気づけなかった。

　それどころか、罠にすらかからなかったのだ。