【HQ】フクロウ拾いました。【赤葦京治】

２４羽 ページ44

.









_________あの日から、５年の月日が過ぎた。



私は大学を卒業、親の知人が営む会社に就職した。


彼は現役大学生、卒業までのカウントダウンが始まる頃。



久しぶりに重なった二人の休日。


特にやることもなく、お互い静かにリビングにいた。



いつの間にか飲めるようになった苦いコーヒーを喉に流し込んでいる時。


赤葦くんが、読んでいた本を閉じて口を開く。




赤「Aさん、結婚しましょう」


『…んむっふ！！！』


赤「俺、これから先何があっても、ずっとAさんと一緒がいいです。


Aさんとなら、どんな困難も乗り越えていけるって、そんな気がするんです」


『………そうね、…結婚、しようか』




ムードなんか微塵もないタイミング。


あまりにも呆気なく、運命が決定した。



コーヒーを手放した手を取られる。


薬指に、指輪が嵌められた。


赤葦くんは、それを愛しそうに眺めて、そこに一つキスを落とす。



赤「一生、俺のものでいてください」


『っ当たり前でしょ…、』



深い緑のその瞳に、私が映される。



嬉しさと、恥ずかしさと。


なんだかよくわからない感情で胸がいっぱいいっぱいになる。



どちらからともなく重ねた唇は、熱を帯びていて、溢れた雫が頬を伝った。

２５羽→←２３羽

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す