番外編 後半 ページ39
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テーブルに突っ伏した状態で、時間だけが私を憐れんで去っていく。
長い針が6に差しかかろうとしていたとき、玄関のドアが開かれる音が聞こえた。
すたすたとスリッパを鳴らせて出迎えると、目に飛び込んで来たのは赤葦くんの腕に抱えられた数えきれないチョコの山。
『……っ、
随分、遅かったじゃん。心配したんだから。
…連絡くらいしてよね』
赤「…すみません。
ちょっと用事があったもので」
テーブルに広げられた食べきれないほどのチョコ達。
垣間見えるピンクの可愛らしいラッピング。
ああ、きっと、本命なんだろう。
無意識に、本当に無意識に、渡そうと思っていたそれを背中に隠した。
『…赤葦くんってモテるんだね』
赤「いや、まぁ、それなりには…。
……あ、そうだ」
何かを思い出したように部活のバッグを探り出す。
出てきたのは赤いリボンのついた手のひらサイズの紙袋。
それを解いて、小さな箱を取り出す。
赤「Aさん。
目を瞑って、後ろ向いてください」
『えっ、……私?』
手に持っていたそれをうまく隠して、赤葦くんに背を向けた。
暫くすると、首元に冷たい感触。
「…目、開けていいですよ」
『………、
わっ、……これ、』
首元に飾られたのはフクロウのネックレスだった。
両眼に深緑の宝石が埋め込まれている。
『………きれ、い…』
赤「それ、グリーンガーネットって言うんです。
…なかなか見つけられなくて、時間かかっちゃいました。
気に入ってもらえたら嬉しいです」
そう言ってやさしく微笑んだ赤葦くんに衝動で抱きついた。
『…っありがとう!大切にする。
________あ、そうだ』
赤葦くんと同じ事を呟いて、隠していた箱を差し出す。
『…えっと、あんなにたくさん貰ってきたし、私があげたって困らせちゃうだけかなって思ったんだけど…。
私なりに頑張って作ったから、食べてくれたら嬉しいな、なんて…』
赤葦くんは箱を受け取ると、愛しそうにそれを眺めてありがとう、と紡いで頭にぽんと手を置いた。
ゆっくり、髪を撫でられて。
気持ちよくて目を閉じたら、そっとキスが落とされた。
赤「心配しなくても、プレゼントあげたのはAさんだけですから。
…特別、ですよ」
(…ああ、くらくらする)
(ちょっぴり苦くて、酔うほど甘い)
(私にとって、彼は__________)
〈 宝石に託す、隠した想い 〉
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もちもち(プロフ) - ラブラドール・レトリバァさん» 東京はアニメの聖地ですよね。 ほんとに幸せでした。 やっぱりそう頻繁に行ける所じゃないので、毎回爆買いになってしまいます。゚(゚^ω^゚)゚。 行くたびに「東京住も。」って思いますよ。 近いうちに行けるといいですね!ご愛読ありがとうございます。 (2017年8月23日 0時) (レス) id: 2c3d1eea9b (このIDを非表示/違反報告)
ラブラドール・レトリバァ - 東京行ったんですね!羨ましいですなぁ…5万は貯めたんですけどね…なかなか行けない(´・ω・`) (2017年8月22日 22時) (レス) id: 6b31ba40ad (このIDを非表示/違反報告)
もちもち(プロフ) - 鯖さん» 本当ですか!?ありがとうございます!! 感動していただけるなんて思ってもみませんでした、、 嬉しいです! (2017年6月11日 1時) (レス) id: 2c3d1eea9b (このIDを非表示/違反報告)
鯖 - 何かとても感動しました! (2017年6月10日 15時) (レス) id: 7852d9062e (このIDを非表示/違反報告)
もちもち(プロフ) - ラブねこさん» おおー!理解者またも発見!コメントありがとうございます!私は四月からJKデビューです← 東北地方はちょっとアレですね。ハイキューファンを殺しにかかってきてますね。一々叫びたいです( ^o^)<ンンンン!←← (2017年3月30日 14時) (レス) id: 2c3d1eea9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もちもち | 作成日時:2016年12月28日 1時