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夕飯 ページ31

まだ同棲してすぐの頃、やまやんと宗悟がゲストだった上ドラで2つ目を作る時、サンプルに並んでた夫婦茶碗を見つけて。やまやんに「将来野上さんと使ったらいいじゃん」って言われて、迷わず自分で作った恥ずかしさから、ベッド下の引き出しの奥、使ってないクッションカバーの中に綿と一緒に入れて半年近く隠してたのに…宗悟によってバラされた夫婦茶碗の存在
「俺嬉しいんだけど。Aちゃんが作ってくれたこの世界にたった一つだけの…俺たちの夫婦茶碗」
あぁもう、なんで仕事用の声使うのズルい…翔翔聞いてて好きだと気がついた、彼の小さ笑う声が耳元で聞こえる
「宗悟と山谷さんが知ってるのズルくない?」
ここで仕事用の声使う翔君の方がズルいです…なんて言える訳もなく。鍋を混ぜてた木ベラから手を離した。あたしが翔君の仕事用の声に弱いのわかってて、わざと耳元で言うんだから本当にズルい。そんなの敵わない
『あとでみせるけど、きょうはつかわない』
「えー」
『だって、みーとそーすだもん』
「あ、パスタ。え、ソースから作ってくれたの!?」
『うん、つくった』
食器カゴからティースプーンをひとつ取り、鍋の中で温まったミートソースを一掬いして差し出す
『あじみ』
火傷しないように、フーフーするのはいいんだけど…離れないのね。あたしは近過ぎて照れるのに…なんで翔君ダミヘは照れるのにこういうの照れないの!?
「あ、うめぇ〜…」
『ぱすた、ゆであがるまで、まっててください』
「はーい」
少し離れてくれたけど、すぐ後ろから感じる視線。多分椅子に座っていつもみたいにカウンター越しにこっちを見てる
玉ねぎ半分をスライスして片手鍋に入れ軽く炒め水とコーン缶とコンソメキューブを落とす
彼の好物でも1品手早く作って添えようか
切れ込みを入れたじゃが芋2個と水洗いした卵を雪平鍋に入れて火にかけ、玉ねぎ半分と胡瓜とスライスして塩振っておく。それからハムを短冊切りにする
茹で上がったじゃが芋が冷めないうちに皮を剥きボウルに入れ綿棒で軽く潰してゴムベラに持ち替え、ハムと胡瓜と玉ねぎ絞ってから入れて混ぜる。卵に殻を剥いてボウルに入れ適度に潰しマヨネーズと少量の砂糖と隠し味にマスタードを入れて混ぜ合わせたら、小鉢に盛ってブラックペッパーをあらびきする
「おぉ…ポテサラ!」
『すきでしょ』
「うん!」
茹で上がったパスタを皿に盛りミートソースを掛けてパセリを少し散らして夕飯出来上がり
『はい、できた』
「うまそぉー」

夫婦茶碗→←真っ暗な部屋の中



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作者名:福招猫 | 作成日時:2021年9月20日 23時

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