同期の観察眼 ページ24
ヨシキと壮馬君と一緒に飯行こうかって話しながらスタジオの入ってるビルを出て歩いているとドスっと背中に衝撃が走り、見ると現在休業中の同期の姿
「…上野？」
珍しく身軽で財布しか持ってない事に違和感しかなくて、話を聞こうとすると半泣きで少し掠れた声で『すまほ、かして』と小さく言った
「スマホ？いいけど…」
ロックを解除し渡すと何かを調べてるらしい
「うえちゃん、自分のスマホは？」
『…わ、すれた』
「翔君は一緒じゃないの？」
『…じゃ、ない』
「お前何があった？」
『…うめ、あ、りが、と』
上野は小さくお礼を言ってスマホを返すとそのまま小走りで去って行った
「うえこ、変じゃねぇ？」
気になる事しかなくて、スマホをいじるとどうやら上野が見てたのはSafariで。消したみたいだけど、Google画面を立ち上げ検索欄をタップすると出て来たのは
「羽田空港発ニューヨーク行き…」
「なんでニューヨーク？」
「ヨシキ、今日車は？」
「そこの地下駐車場」
嫌な予感がして野上に電話をすると、いつも携帯に執着しないのに珍しくすぐに繋がった
〈もしもし…梅さん？〉
聞こえてきた声はいつもよりトーンが低く元気がない。益々確信に近付く…
「野上、ニューヨークって上野に何か繋がりあるか？」
〈確かAちゃんのご両親が来週からニューヨークで公演だって…〉
「さっき上野に会った」
〈どこっ!?〉
「〇×スタジオの前」
〈すぐ行く〉
「待て。言ったろ、ニューヨークに繋がりあるかって」
〈まさか…〉
「多分な。あいつ俺のスマホで調べてった。今どこに居る？」
察したヨシキが歩き始めてくれたから、後に続く。狭くない空港内。探すには人手があった方がいい
〈××寺〉
「今ヨシキが居るから、車で迎えに行く」
〈…分かった〉
一旦通話を切ると2人は察した様子で。1〜10まで説明しなくていいのがありがたい
「うえちゃん、ニューヨークって…」
「野上もちょっと元気なかったし、やっぱり何かあったんだろ」
「うえこ財布しか持ってなかったぞ…」
「女性が財布だけで搭乗しようとしたら流石に止められる気がするんだけど…」
「そこまで頭が回ってないんだろ…」
「珍しい…」
本当に2人揃って珍しい。あんなに頭の回ってない上野も電話に早く出る野上も
「ヨシキ、こっから野上拾って空港まで何分」
「30分あれば着くけど…」
「ニューヨーク行きの便は一応あと1時間15分後に搭乗開始だよ」
万が一上野が止められなかった場合探せる時間は短くて45分…
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作者名：福招猫 | 作成日時：2021年9月20日 23時
