季節の呼吸を持つ少女【鬼滅の刃】第参話

第佰肆話 ページ24

そして彼らは話が、その言葉は頭に入らない
出血が少々多かったせいもある
何より、累に噛まれた傷が痛むせいもある


『はぁ、ッは…ぅぅッ…、』


息の吸う回数が多くなる。そして目眩もする


『炭ッ…郎、禰……ッ子、ちゃん逃げッ…、て』


やっと出せる声
届かないとしても、彼に…2人に云った

それを悟ったかのように、冨岡は2人に「逃げろ」と云い
2人を逃す


？「あらあら、逃げられてしまいましたか…、
それで、冨岡さんは時間稼ぎ…と云うわけですね。しかし…、
貴方がその気でも私は付き合う気はありませんので

それに、そこに倒れている鬼殺隊は救わないんですか？」

冨岡「…、」

？「無言ですか、だから嫌われるんでよ？
では、ご機嫌よう」


そう云い、彼女は高く飛んでいった


冨岡「…、動けるか」
『は…、いッ…、私のこ、とは気にせず…行って、くだッさい』

冨岡「感謝する」


そう云い一瞬で去っていった…


『ッッッ…(喉が痛いッッ、目眩もするッ、苦しいッでも！)
い、かなきゃ…、』


重たい体を動かし、来た道を戻る

自分自身の刀を探す暇などない、一刻も早く"彼"の元へ歩く

走りたいが、貴方の明日が云うこと聞かず、むしろ遅くなっていく
だんだん眼の前の景色も歪んでいく


『ッ…まだ、ここで、倒れて、る訳ッには…』


ふらつく脚を必死に動かす
だが、道なんざ覚えている訳もない、ただ勘を頼りにして歩く


『グハッガハッ、ゴハッゴホッ!!!』


咳をするだけで、血も混ざりながら口に出す
鉄の味が口の中に染みる


『ッ…、(速くッ、速くッ!!動け私の、脚ッ!!)
彼が、死ッんじゃう!!』


その想いを込めて、ふらついた脚が一気に力が入ったかのように動き…
走る

ひたすら走る
例えその道が間違っても、走り続ける

すると


「鬼」


その文字が見えた
その文字は…彼の文字だった


『ッ!!(いたッ…、)』


木に寄りかかり、まだ眠っている彼
横顔がとても美しかった、


『よかッたぁ…、無事…で……、』


そう云いながら意識が少しずつと薄れていく
そして手を伸ばした時、意識がなくなった


『…、』


ゆっくりと落ちていく貴方
そしてふわりと地面に倒れた
その手は、兄蜘蛛の右手に重なった


…


鎹鴉「伝令!伝令!本部ヨリ伝令アリ!
炭治郎、禰豆子、"ハルミ"、参名ヲ拘束!本部ヘ連レ帰れルベシ!!」


鎹鴉の報告が森の中で響いた
1匹だけではない、無数の鎹鴉は各地で云う

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