【妖怪松】妖怪化してしまった6つ子たち

記憶3 ページ21

最初のお客様、

化け狸の壱果を保護した

幼少期のソラは、

壱果を屋根裏で生活させて

あげることにした。

壱果「ほ、ほんとに

いいんでしょうか！？」

ソラ「もっちろん！

さっき掃除しといたし、

綺麗だと思うよー あ、そうそう

たぬきうどん、沢山置いといた

から、ね！食べていいからね！」

壱果「ふぁぁぁぁぁぁぁぁ！」

ダダダダダ……と屋根裏に続く

階段を駆け上がって行った。

ソラ「ふへっ、良かったぁ」







ソラ「ひーまーだーなー♪」

↑この歌、分かる人は分かる

6つ子のあの歌。

いつもの様にまた神社内を

探検していた。

また妖怪とか出て来ないか、と

期待しながら。

するとだ。

神社の御神木の辺りが

いつもと違う、異様な空気が

漂っていた。

毎日のように探検している

神社内。

小さな変化でもすぐに気づいた。

ソラ「なに……あれ……。」

大きく立派な御神木。

その周りに蜘蛛の糸が

巻き付いていた。それも、

『大量』に。

地面にむき出しになっている

根の部分から葉っぱの先まで

びっしりと糸が張り巡らせ

られていた。

ソラ「………！ 妖怪だ、

……蜘蛛…『土蜘蛛』だ。」

土蜘蛛ーー

全身から光を放つこともある、

糸を自由自在に操る蜘蛛。

洞窟のような穴を掘り暮らしている。

鬼のような顔に鋭い目つき。

ソラ「でもっ、でも……なん、で？」

戸惑うソラ。

理由があった。

この河瀬神社の2代目の神主、

『河瀬 知幸』(ともゆき)

が、昔土蜘蛛に酷く神社を

荒らされた。

1体ではない、5体だ。

5体と争い

その暴れまくった土蜘蛛らを

怨霊として復活しないように

5体をバラバラにして各地の

塚に閉じ込めたのだ。

その時、5体以外にも土蜘蛛は

存在している。そのおよそ500体を

まとめて何処かへ封印したのだ。

今思えば凄いと思う。

しかし、もうこの世には

『存在しないはずの土蜘蛛が

昨日の夜か、さっきの間にこの

神社に現れた』ということになる。

『存在しないはずの』なのに。

ソラ「どうして……」

御神木の周りを確認してみる。

すると。

ソラ「うわっ……なんか、

生ぬるい……」

生ぬるい空気を感じた。

ざわざわっ……

強く風が吹く。

木々が騒めく。

その生ぬるい空気をたどった。

するとその先には、

壱果が生活し始めた家が

あった。

ソラ「…………！」

2階辺りに大きく穴が開いていた。

地面には砕かれた壁の破片が

飛び散っていた。

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