第200話：賭けの勝敗 ページ1
＿＿満月が、荒れ果てた遊郭を爛々と照らす。
華やかさと艶やかさ溢れる花街は、もうその面影もなく、まるで原型を留めていなかった。
謂わばそれはただの木屑の山。
炭治郎達により首を討ち取られた上弦の陸が、最期の抵抗として猛威を奮った為に招かれた結果である。
「…凄い事になりましたね。まさか上弦の陸が敗れるとは…やはり鬼狩りは強いものですねえ。…って、聞いてませんか」
目の前の惨状を眺めながら、上弦の零は他人事の様に、地面に倒れ伏す1人の少女に向かってポツリと呟いた。
長い黒髪を靡かせる彼は、愉快そうにニコニコと笑っている。
…そろそろあっちも終わった頃だろうか。
誰かが来る前に、この娘をあの人の元へ連れて帰ろう。
彼は血を払い、刀を鞘に収めると、足元の少女の肩に手を添える。
…ひんやりと体温は低い。心音も小さくなっていく。もう少しで死んでしまうのだろう。当たり前か、小さな身体でこんなに血を流せば死は免れない。
＿彼は端から彼女を賭けに勝たせるつもりなどさらさらなかったのだ。
血気術により無防備となった身体は刻一刻と死へ近付いていく。
当たり前だ。だって今此処に、彼女は�犁錣覆き瓩里世�ら。
空っぽの肉体だけがただそこに横たわる。
脳も回転していない、神経も仕事をしていない。血小板が働かなければ血は止まらない。
「…どう足掻いても先に死ぬのは貴方の肉体。向こうで足止めを食らってれば、じきにお陀仏ですよ。
…あの男もまあ往生際が悪い事だ。こんな小娘に彼岸の呼吸を託すとは…」
まあ、全部無駄に終わりそうですがね。
そう言って、肩に添えた手を引こうとした…その時だった。
カチャリ、といつの間にか首に宛てがわれた何か。
それは酷く冷たくて…皮膚に触れている部分がピリｯと痛む。
…彼はこの感触を知っていた。
これは＿＿、
「手を退けろ。その少女に指1本でも触れるな」
「！」
グｯと首に食い込んだそれに、即座に背後の人物と距離を取る。
無論、しばらくすれば首の傷はスｯと消えた。
「…よもや、まさか鬼になっているとは思わなんだ」
「これは…、賭けに負けたのは私の方でしたか…。
まさか本当に炎を灯してしまうとは…」
珍しく笑顔を崩した彼は、じっと目の前の男を見つめる。そして青筋を立てる男もまた、目の前の鬼を見据えている。
「今すぐお前の頸を撥ねたい…が、それは俺の役目ではない。
…失せろ」
細められた瞳の中で、燃え盛る炎が静かに揺らいだ。
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あまいろ(プロフ) - ソーダ錫さん» あれ、分かっちゃいました！？すげえ！そうです細かい所何個か修正したんですよ！！そんなに！！読み込んでくれてるんですか！！うおん！！！感謝カンゲキ雨嵐！！！あざます！！！これは嬉し過ぎる (2021年3月6日 23時) (
レス) id: a7b2172907 (このIDを非表示/違反報告)
ソーダ錫(プロフ) - これ何個か細かいところ修正しましたね・・・？この作品ガチ勢の私にはわかりますよ、えぇ。超すこ。 (2021年3月5日 22時) (レス) id: 10b66fbb96 (このIDを非表示/違反報告)
あまいろ(プロフ) - 蓮さん» 土下座ボーイ！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！ (2020年1月14日 23時) (レス) id: a7b2172907 (このIDを非表示/違反報告)
蓮 - 土下座ボーイ！！！！ (2020年1月14日 1時) (レス) id: 0d8aed718b (このIDを非表示/違反報告)
あまいろ(プロフ) - セブンス・エイカンさん» コメントありがとうございますーー！！！獪岳またの名を土下座ボーイが登場しましたね！！！！！面白いと言って貰えてめちゃんこ嬉しいです！！！私も好きです愛してますこれからもよろしくね。 (2020年1月13日 13時) (レス) id: a7b2172907 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あまいろ
| 作成日時：2019年11月4日 7時
