思い想われ雨右回れ (ページ18)

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私の隣にはいつもふっかがいた。

性格が合わなくても。
会話がなくても。
いつもバカにされてばかりでも。
今のこの名前がつけられない関係になっても。

お家も隣。
同じ教室で席も隣。
委員会の話し合いも隣。
学校に行く時も帰る時も隣。

必ず私の隣にはふっかがいた。

でもそれは、当たり前の事じゃなかった。

あの日も1人で帰ろうとしてて。
たまたま、教室に忘れ物をしてて。
それをただ、取りに行こうとしただけ。
……………違う。これは、ふっかに言った嘘。

本当は、

いつもいる昇降口にふっかがいなくて。
なんだかひとりで帰るのは心細くて。
靴を見たらまだ学校にいて。
もしかしたら、教室にいるかも、でも教室に入って怪しまれたくなくて。
カーディガンの袖口にこっそり携帯を隠して。
教室から聞こえるふっかの声に安心して。
もう1人の女の子の声に焦燥感を煽られて。
教室で見たものを、気の所為だって言いたくて。
西陽に照らされたふっかが凄く綺麗で。
ムカつくくらい綺麗で。
ふっかがあんなに柔らかく笑うなんて知らなくて。
私以外になら向ける顔なんて知りたくもなくて。
苦しい程にその顔が似合うふっかを見てられなくて。
ふっかって、そんな顔できるんだって、驚いた。驚いて、そのあとは、……＿＿＿＿

ねぇ、ふっか。

「えー？ほんとー？」

どうして、私には、

「じゃあさ、ここ行こっか？」

そんな風に笑ってくれないの？

「苦しい。」
「ええっ！？大丈夫？保健室行く？」
「ううん。大丈夫。」

現在体育の授業中。
本当は外でテニスの予定だったものが、雨のせいで体育館に。
元々男子も体育館でバスケの予定だったから、コートを半分こして、女子は半分自習状態のバトミントンに変更。
雨音を壁際で聞きながら、私は大嫌いな体育を適度にサボる。