【恋愛】王子様とメイドさん～男装女子と女装男子たち～ (ページ4)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:1,027 hit

３話ページ4

～拝啓蓮王子様～

先日レイナちゃんに呼んでもらい、お店に遊びに行かせていただいたものです。

レイナちゃんが素敵だ素敵だという王子様に男を学ぼうとあなたを見に行きました。

気づけばあなたに夢中になっていました。

２１時、店の近くにある公園で待っています。

A「・・・。」

手紙を読み終えた私はただ無言でその場に立ち尽くしていた。

A(これ・・・)

A(性別不明なんですけど・・・・。)

そもそも男を学ぼうと私を見に来るというのはどちらになるのだろうか。

わからない・・・

いったいどっちなのだろうか・・・。

A「はぁ・・・。」

「あれ？レイナは？」

「あっ、先帰りましたよ？」

A「・・・。」

レイナちゃんはいったいどんな気持ちで私にこの手紙を渡したのだろうか。

この手紙の主が男だとしたらまぁ、ちょっとドキドキ？って感じだと思う。

でも女の子なら・・・

A(レ、レイナちゃんならそもそも相手を止めるよね！！)

想像のレイナちゃんに勝手な理想を押し付け、私は「大丈夫」と自分に言い聞かせて店を出た。

約束の２１時。

A「あっ・・・。」

公園につくと髪の短い子が公園の街灯の下で立っている。

A(あ、あの子かな？)

だとしたら見た目はどこからどう見ても男の子だ。

A(よ、よかったぁ～・・・)

私はほっと胸をなでおろしながら公園にいる一人の子に近づいてゆく。

A「あ、あの・・・。」

恐る恐る声をかけてみる。

私の声が聞こえたからか、ずっと下を向いていた待ち人がゆっくりと顔を上げる。

A「！！」

一瞬私は息を飲んだ。

待ち人は眼鏡をかけたきれいな黒髪の少年だった。

その少年はまるでアニメの世界から出てきたキャラかのように整いすぎた綺麗な顔立ちをしている。

そのあまりの美しさに私は声を失った。

「よかった。蓮さん来てくれた。」

「来てくれなかったらどうしようかと思ったよ。」

A「え、えっと・・・君が‘俺’に手紙をくれた子！？」

とりあえず何かを離さなければと動揺しながら私は蓮になり切る。

そう。

Aではなく蓮に。

そんな私を見て少年はくすっと笑った。