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「チェーニャ!なんでここに!?」

「ん?なんでもない日だからお祝いにきただけさ。おめでとう、リドル」

「なんでもない日はハーツラビュル寮の伝統行事だ。キミには関係ないだろう?」

「それはそっちの人たちも同じじゃにゃーの」


とんとん拍子に進む会話の中でチェーニャはちらりとユウ達を見た。先程思わずといった様子で「は?」と零した後、カトラリーを手にしたまま黙っているAと目が合う

朝焼けのように輝く瞳には愛し子にあるべき慈愛の色は無く、ただただ氷点下の冷たさが渦巻いていた。どうやら気に触ったらしいと彼は目を細める


それもそのはず。テーブルマナーについても厳しい教育を受けてきた彼女にとって他人の食事を横から奪うなどあまりに無作法。これがマレウスをはじめとした馴染みある者なら文句こそ言えど怒りはない。だって、そういう仲だ

今までもひと口もらったりあげたり、食事を半分こにしたり。公の場でなければ、そういう事もいくらでもしてきた


___けれど、彼は違う

彼は違うではないか。初対面も初対面。名前も顔も知らぬ。そんな人に、ひと言の断りもなく同じカトラリーに口を付けられるとは

心根の優しい子なら、これだって気にせず許したのだろう。世の大多数の人が思い描く愛し子なら、許してあげたのだろう。Aだって体裁は気にする。しかしここは学園だ

彼女に「みなと同じ平等」は適応されない。どれだけ望んだとて、どこに行っても神の子である。けれど己さえもが嫌なことを嫌と言えずに、どう平等を望むというのか

彼の行いを許すほど、寛容にはなれない


「おっと。それじゃ、タルトも食べたし俺は帰るとするかにゃ」

グリムの疑問からロイヤルソードアカデミーの生徒だとバレたチェーニャは、寮生達が殺気立つのを感じ取りふわりと消えた


「__トレイ先輩」

騒がしくなった庭園の中、席を立ったAが相も変わらず鈴のような声を轉がす


「お手数ですが、このカトラリー、新しいものと取り替えていただけませんか」

どうにも不愉快で、と付け足された。彼は友人が彼女にした事を思い出し、あぁと頷く


「……チェーニャが悪いな」

「お気になさらず。私こそ、驚いてしまって」

思っていないでなろう謙遜をさも悪びれもなく言う彼女に、トレイは肩を竦めて小さく笑みを零した

56・食えない彼→←54・にゃーにゃーにゃー



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藤宮(プロフ) - 紅さん» ありがとうございます〜!この小説をどうぞよろしくお願いします! (8月17日 23時) (レス) id: 70681114dc (このIDを非表示/違反報告)
- とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (8月12日 0時) (レス) @page25 id: b3496c9ef0 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - 晏昊さん» ありがとうございます。長らくお待たせしましたが亀更新で頑張ります〜! (2023年3月6日 0時) (レス) @page21 id: 73feed36fe (このIDを非表示/違反報告)
晏昊 - 好きすぎて一気見しちゃいましたw続きがすごく気になります!頑張ってください!待ってま〜す!!! (2022年5月3日 1時) (レス) @page21 id: 92be24dccc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:藤宮 | 作成日時:2022年1月5日 2時

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