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「─ていうか、ジャックの方こそAちゃんのこと知ってるの?」
体良くエースの肘置きにされた肩から腕を退かしてユウが問う。彼は一拍黙ってから、同じクラスだと頷いた
「てことは?」
「B組だな」
「なんだ隣じゃん」
エースとデュースのトントン進む会話を横目にユウは目線を下げた
同クラというジャックに、ずるい、とも、いいなとも思う。だってそれって、おはようもまた明日も自然に言えるってことだ。ユウとてしようと思えば出来ることだが、毎日他クラスに顔を出すのも迷惑かと思ってしまう
ため息を吐きそうになったところで、Aちゃんの話も良いけど、とケイトの声が聞こえ顔を上げた
「ラギーくん達のこと、どうする? リドルくん」
「あぁそうだね……」
クラスや面識云々よりも重大な話があったと思い出して、みな一様に姿勢を正した
話題の軌道修正をしたケイトに内心で感心しつつ、ユウは黙ってリドルの声に耳を傾ける
事前に彼らを断罪することは難しく、犯行現場を押さえるしか方法はないとの結論に至ったが、リドルがその作戦を話す前にジャックが声を上げた
「待て。知ってる情報を話しはしたが、俺はお前らとツルむつもりはねぇ」
あまりに正直な言葉に、ぴたりと一瞬ときが止まったように思えた。ケイトが困ったように眉を下げて、彼に対して、落とし前は自分でつけるとジャックが背を向けたときには、ユウは無意識に口を出していた
「でも、今までの事件も止められてないよね。本当に一人でなんとかできると思ってる?」
「……あ?」
「本気で止めたいと思ってるなら、より勝算のある方に賭けるべきだと思わない?」
「ゆ、ユウ…?」
「…サバナクロー寮はディアソムニア寮を狙ってる。あなたにとってAちゃんがただのクラスメイトでも、僕にとっては大切な友達だから。止められなかった、なんて失敗はしたくない」
「あ!? 俺だってあいつのことはダチだと思ってる!」
「なら尚更、どうするべきか分かるよね?」
賢い狼は群れで狩りをするよ、と。最後のひと言が効いたらしい。彼は話を聞いてくれるようだった
ユウこわ……と呟いたのは誰だったか。寮ぐるみの犯行を止めることから、Aを守ることへ話の論点がすり替えられたことに気付いたのは、周りで聞いていた者達だけだった
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藤宮(プロフ) - 紅さん» ありがとうございます〜!この小説をどうぞよろしくお願いします! (8月17日 23時) (レス) id: 70681114dc (このIDを非表示/違反報告)
紅 - とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (8月12日 0時) (レス) @page25 id: b3496c9ef0 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - 晏昊さん» ありがとうございます。長らくお待たせしましたが亀更新で頑張ります〜! (2023年3月6日 0時) (レス) @page21 id: 73feed36fe (このIDを非表示/違反報告)
晏昊 - 好きすぎて一気見しちゃいましたw続きがすごく気になります!頑張ってください!待ってま〜す!!! (2022年5月3日 1時) (レス) @page21 id: 92be24dccc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤宮 | 作成日時:2022年1月5日 2時