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はぁ…とひと息吐いて、ヴィルは眦を下げる
「もう、アンタが感動したのは分かったから。…で？何を見たっていうのよ？」
「あぁ聞いてくれ！」
さっきから聞いてるっての。と多少口悪く言ってしまいたくなるのを抑えて、ヴィルはルークに「待った」を掛けた
うん？ と首を傾げる彼に「アタシの部屋に行きましょう」とひと言いえば、何を意味するか理解したようだ
私が紅茶を淹れようと頷く彼を見て、話が長くなりそうだからと提案したの間違いではなかったと悟った
──寮長室で、ヴィルは頭を抱えていた
普段ならばこんな美しくない所作は絶対にしないところだが、今はそれしかこの心情を表す術がなかった。机を挟んで対するルークは澄まし顔─というよりも、いつもの変わらぬ涼んた表情で茶を嗜んでいる
彼は事の次第が分かっているのか、分かった上でその態度なのか、ヴィルは測りかねた
話を聞くに、彼は今日、つい先程まで植物園に居たという。サイエンス部で育てている植物の様子を見に行って、そして神の子がなぜか我が部の鉢を抱えてこちらへ来るものだから、思わず隠れたらしい
「なんで隠れたのよ」「彼女に話しかけるには、まだ心の準備が足りなくてね」──という会話は既にした。彼の判断はまぁ…普通のものであろう
ヴィルには目を付けている新入生が数人いる。それは美しいとか、磨き甲斐があるといったもので、神の子もその内のひとりだった。食堂で数回見かけて、その美しさは類を見ないものと知っていたが、それでも彼に言わせれば「不完全」
直ぐにでもあれこれと指示を出したいところを、彼女の立場を慮って我慢していたのだ
いま少し様子を見て、色々と口を出しても大丈夫なようだったらそれから─と。彼でさえそう考えるのだから、ルークとてそうであったのだろう。おそらく。多分
段々と自信の無くなる心中で、己が声をかけるのを我慢する中、彼女に気安く話しかけるジャガイモ達は勇敢なのか浅慮なのか─と、そこまで考え思考を散らした。今はそんな話ではないのだ
ルークの話によれば、彼女は明らかに脅されていたという
その人物─アズールは、慈悲という名の智略に富んだやり方で契約をするというが、彼は時々強引だ。彼女にも強引であったらしい
そして目の前のこの男は、それをただじっと観ていたというのだ
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藤宮(プロフ) - 紅さん» ありがとうございます〜！この小説をどうぞよろしくお願いします！ (8月17日 23時) (
レス) id: 70681114dc (このIDを非表示/違反報告)
紅 - とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (8月12日 0時) (レス) @page25 id: b3496c9ef0 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - 晏昊さん» ありがとうございます。長らくお待たせしましたが亀更新で頑張ります〜！ (2023年3月6日 0時) (レス) @page21 id: 73feed36fe (このIDを非表示/違反報告)
晏昊 - 好きすぎて一気見しちゃいましたw続きがすごく気になります！頑張ってください！待ってま〜す!!! (2022年5月3日 1時) (レス) @page21 id: 92be24dccc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藤宮 | 作成日時：2022年1月5日 2時
