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「あなたも私も、クルーウェル先生も。みんなお咎め無しです。平和的解決でしょう？」
「──えぇ、とても。愛し子にあるべき慈悲深さですね」
ふふ、とAは微笑んだ。存外やさしい笑みだった。それこそ本当に、慈悲をくれてやっているような
「だからそれ、落としてもいいですよ」
笑みと似合わぬ冷たく言い放つ声で、もう一度その言葉を吐く。男には屈辱的だった
やりたいならやればいい。好きにすればいい。見ていてあげるから。それでいて、許してあげるから
そう言われているようだった
悪手だ。これ以上の粘りも、いや、今日取引を持ち掛けたことが悪手だった
ぐっと歯を噛んで、けれど彼も笑みをつくる
「……いいえ、やめておきましょう」
「いいんですか？」
「えぇ。貴女とやっと話すことができて、どうやら舞い上がってしまったようです。不躾なことをしてしまいました」
いかにも申し訳なさそうに肩を竦めて眉を下げる
嘘ばっかりと言いたげに彼女は笑むことを止めていた。その冷たい表情も美しいのだから、神に愛されたものは羨ましい限りだと皮肉混じりに内心で呟く。僕なんて、努力してしか手に入らないのに
男はかつりかつりと靴音を鳴らしてAへ近付き、まるで担保のようにしていた鉢を差し出した。Aの手が鉢に触れるも、彼は鉢を手放さない
何をしている、早く渡せと言うようにこちらを見上げる彼女に、顔色を変えず問いかけた
「最後にお聞きします。女性である貴女が、どうしてこの学園に入学できたんです？」
彼女の顔色もまた、変わらなかった。常輝いて見えた、朱と蒼の混じった朝焼けの瞳は、今や黒々と渦巻く海底のようにも見えた
それは、と口を開く
「闇の鏡が、私を選んだから。それだけのことです」
そうですかと端的に返して鉢を渡した
望んだ答えとは違うが、確かにそうではあろう。彼女がおいそれと全てを打ち明けるとも思えなかった
ここまでだ。問いも、取引も
「お話できて光栄でしたが、次はもっと楽しい話ができれば幸いです」
そうですねと小さく呟き返したAは、己に背を向け踵を返す彼の手を掴み、ぐっと引っ張った
「なっ＿！？」と素の驚き声が出る。華奢な手の先の彼女はしたり顔で強気に笑っていた。存外にそのかんばせが近くて、男は言葉に詰まってしまった
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藤宮(プロフ) - 紅さん» ありがとうございます〜！この小説をどうぞよろしくお願いします！ (8月17日 23時) (
レス) id: 70681114dc (このIDを非表示/違反報告)
紅 - とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (8月12日 0時) (レス) @page25 id: b3496c9ef0 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - 晏昊さん» ありがとうございます。長らくお待たせしましたが亀更新で頑張ります〜！ (2023年3月6日 0時) (レス) @page21 id: 73feed36fe (このIDを非表示/違反報告)
晏昊 - 好きすぎて一気見しちゃいましたw続きがすごく気になります！頑張ってください！待ってま〜す!!! (2022年5月3日 1時) (レス) @page21 id: 92be24dccc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藤宮 | 作成日時：2022年1月5日 2時
