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Aは昔カリムを散々馴れ馴れしく呼んだが、それは幼かった故に彼の事を「友達だぁ」程度にしか思ってなかったからだ。今となってはあの大富豪の息子の名を軽々しく呼んでいいものか、と躊躇してしまう
しかし、いやいやと首を振った。己は神の子である。尊大にいこう
「…うん。昔みたいにカリムくんって呼ぶよ」
改めてよろしくと笑った彼女を彼は流れる動作で抱き上げた。うっと呻いた声は聞こえていないらしい。よろしくなぁ！と楽しそうにくるくると回っている。あっとシルバーが声を上げた
「カリム、あまり危ないことは」
「ははっ！嬉しくてな」
護衛として来ている彼は止めるべきか思考して、必要ようないと判断したようだ。それは彼等の再会を思ってのことだが、Aは己を思って止めて欲しいと思った
＿＿存分に回って満足したらしい。終始、青ざめていたAが死人のような顔色になった頃に降ろされた。足がふらつく様を見てシルバーが支える
「大丈夫か」
「うん……昔も、あったことだよ」
彼女は力無く笑っていた。ジャミルは息を吐いて「あまり客人を待たせるな」とカリムを催促する。まったくこれも、昔にもあった構図だった
口元を抑える彼女に気付いておろおろとしていたカリムは、慣れた様子のジャミルに「あいつはいずれ戻る」と言われて落ち着きを取り戻した。さぁ入ってくれと中へ通される
「ようこそ、スカラビア寮へ！」
カリムは歓迎の言葉を紡いだ
エスコートするようにAの手を取って奥へと進む。間もなく着いた大広間では明るい音楽が鳴っており、聞こえてくるのは寮生達の笑い声。Aはカリムに手を引かれたまま、その中心に立った
愛し子の登場にみな戸惑うのでは、私がいたら宴をいつも通りに楽しめないかも。そんな考えがぐるぐると頭を巡ったが、意外に寮生達は恐縮する＿というより、高揚しているようで、空気が固まる事も笑顔が消えることも無かった
「今日は宴だ！」
カリムが声を上げればそれに呼応する彼等に、スカラビア寮生はなんて明るいのだと驚いて、未だ繋がれた手とその先の彼の昔と変わらぬ太陽のような笑顔に、手を握り返した
一週間の思い出と、よろしくねと笑って彼の手を取った分くらいは、誰よりも上の立場にあれる私くらいは、この学園にいる間だけでも彼と対等な友達でいたいと願った
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藤宮(プロフ) - 紅さん» ありがとうございます〜！この小説をどうぞよろしくお願いします！ (8月17日 23時) (
レス) id: 70681114dc (このIDを非表示/違反報告)
紅 - とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (8月12日 0時) (レス) @page25 id: b3496c9ef0 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - 晏昊さん» ありがとうございます。長らくお待たせしましたが亀更新で頑張ります〜！ (2023年3月6日 0時) (レス) @page21 id: 73feed36fe (このIDを非表示/違反報告)
晏昊 - 好きすぎて一気見しちゃいましたw続きがすごく気になります！頑張ってください！待ってま〜す!!! (2022年5月3日 1時) (レス) @page21 id: 92be24dccc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藤宮 | 作成日時：2022年1月5日 2時
