49・想定外の答 ページ4
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高専のある一室で、重要人物達が集まり会議を開いていた。
「OB、OG。それから御三家。夜鎮家とアイヌの呪術連にも協力を要請しろ」
夜蛾のその言葉に室内はザワつく。特級とは言えそこまでするのか、と言うより、そこまでしなければ勝てない相手ということに驚いたようだった。
そして_夜鎮家の名が出たことにも。
「夜鎮家にも協力を?」
「あの当主が聞くでしょうか」
__夜鎮家。
様々な話のある家だが、実際のところその話のどこまでが真で嘘かも分からない。……そしてなにより「今代の当主は
「…いや、当主ではなく次期当主の方に協力を要請する」
夜蛾が言うと周りは納得した様子で「あぁ、それなら」と頷いた。昔から高専と関わりのあるあの娘ならきっと聞き入れてくれるだろう。
あとはその娘が当主を説得すれば良い。そう思っていた。
_同日、学長室にて。
「この度は御足労頂き、誠に感謝いたします」
『いえ、構いませんよ』
夜蛾とAは対面する形で座っており、扉の傍に案内役である伊地知が控えていた。夏油傑の件ですよねとAが言葉を続け、夜蛾は肯定の意味で頷く。
_あの時はとても動揺していたようだが、今はこの落ち着きよう。普段と変わらぬAの様子に夜蛾は流石だと感心した。
(…普段通りでは無いか)
普段であるば、Aはとっくに笑顔を向けてくれている。しかし目の前の彼女は無表情のまま目線を下げていた。長い睫毛とさらりと流れた黒髪が影を作り、閑静な雰囲気を作り出している。
薄暗い影の中、淡い紅色の瞳が鈍く光る様子はとても美しい。
「その件で、夜鎮A殿にご協力賜りたく存じます」
物思いに耽ってしまった夜蛾は少し遅れて口を開いた。Aは想定内だと言うように大した反応はせず、一度目を閉じて、ゆっくりと開く。
『お断り申し上げます』
凛としながらも平坦な声で、そう言い放った。
「…な、」
夜蛾は目を瞠る。なぜ、という声は呑み込まれた。緊張によるのか、身動ぎもせずに控えていた伊地知も驚いた様子でいる。
断られるなど、思いもしなかった。
『…約束したのです』
Aは小さく声を零す。それから何かを思い出す様に、また静かに目を伏せた。
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藤宮(プロフ) - 43 −ヨミ−さん» 初めまして。えっ…めちゃくちゃ嬉しいんだが?!?!私がこだわってる所に気付いてくださって…どうしよう嬉しい!ありがとうございます!頑張ります! (2021年11月19日 11時) (レス) id: 9fd58b0bd3 (このIDを非表示/違反報告)
43 −ヨミ−(プロフ) - 初めまして、コメント失礼致します。物語の展開や設定、キャラ間でのそれぞれの感情とか滅茶苦茶素敵でした…!!本当に魅力的で、思わず見入ってしまいました´`* 応援しております、土主様の無理の無い範囲で更新頑張って下さいませ…!! (2021年11月19日 1時) (レス) id: 1d67640196 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - プスメラウィッチさん» 初めまして。う〜〜んオチはすっっごく迷ってるところでして…ご意見聞けて良かったです!ありがとうございます!!頑張ります! (2021年10月10日 21時) (レス) id: 9fd58b0bd3 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年10月6日 10時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - 通りすがりの誰かさん» わざわざ応援してくださりありがとうございます!!嬉しいです。任命式、無事に成功しました〜!! (2021年1月6日 0時) (レス) id: c231945d30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤宮 | 作成日時:2020年10月28日 20時