71・両面宿儺 ページ26
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さすが景、強いなぁと感嘆する横で彼はまた姿を現す。
「…伏黒恵、危ないみたいだよ」
『あ、やっぱり?さっきから凄い音してると思った』
静かな声に『あはは』と笑って返した。建物の壊れる音も聞こえたし、大丈夫だろうと思ってたけど急いだ方が良さそう。
恵頑張れ!と心の中で応援しながら走り出す。
『お、そこかな?』
暫く走って、私の居る屋上とは違う屋上に一際大きい呪霊が見えた。
_が、次の瞬間その呪霊の体が大きく抉られ、隣に居る彼はゲラゲラと笑い出す。
『_虎杖くん?』
どういうことか分からない。今のは虎杖くんがしたの?いや有り得ないな。そんなこと、彼に呪力が宿らない限りは。
「素晴らしい、鏖殺だ」
でも服を破った虎杖くんの体に見える紋様も笑顔で発した言葉も、元の彼のものとは思えない。ならば、誰のものか。
『どういうこと、』
呟いて二人のいる屋上に移る。己の首を掴んでいる虎杖くんは二重人格のように一人で会話していた。
何があったのかは理解してないけど、やるべき事は理解した。
「動くな」
私に気付いた恵は何も言わず掌印を組み、彼の足元で影が渦巻く。私はその対角線上に立って虎杖くんを挟んだ。
私と恵に驚く姿は元の虎杖くんっぽいけど……もうダメだな。
「は?」
「呪術規定に基づき、虎杖悠仁、オマエを__"呪い"として
冷たい夜風が私達の間を流れ、虎杖くん寒そうと場違いな事を思いながら注意深く彼を見つめる。
「いやなんともねーって、それより俺も伏黒もボロボロじゃん」
困った顔で手を上げて、虎杖くんは「はやく病院いこうぜ、なぁ夜鎮?」と私を見た。いやなんともなくないよね。
ちら、と恵を見れば顔を顰めてどうするべきか迷っているので代わりに口を開く。
『動くなって言ったんだけど』
「そんな、えぇ…」
「今どういう状況?」
虎杖くんが更に困った表情で「当たり強くね…」と零した後に聞き慣れた声が聞こえた。
このままだと膠着状態になりそうで本当は少し困っていたが、第三者が現れて物理的に状況が変わる。
悟が来てくれたし…良かった。この意味の分からない状況も何とかなりそうだと安心した。
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藤宮(プロフ) - 43 −ヨミ−さん» 初めまして。えっ…めちゃくちゃ嬉しいんだが?!?!私がこだわってる所に気付いてくださって…どうしよう嬉しい!ありがとうございます!頑張ります! (2021年11月19日 11時) (レス) id: 9fd58b0bd3 (このIDを非表示/違反報告)
43 −ヨミ−(プロフ) - 初めまして、コメント失礼致します。物語の展開や設定、キャラ間でのそれぞれの感情とか滅茶苦茶素敵でした…!!本当に魅力的で、思わず見入ってしまいました´`* 応援しております、土主様の無理の無い範囲で更新頑張って下さいませ…!! (2021年11月19日 1時) (レス) id: 1d67640196 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - プスメラウィッチさん» 初めまして。う〜〜んオチはすっっごく迷ってるところでして…ご意見聞けて良かったです!ありがとうございます!!頑張ります! (2021年10月10日 21時) (レス) id: 9fd58b0bd3 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年10月6日 10時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - 通りすがりの誰かさん» わざわざ応援してくださりありがとうございます!!嬉しいです。任命式、無事に成功しました〜!! (2021年1月6日 0時) (レス) id: c231945d30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤宮 | 作成日時:2020年10月28日 20時