70・線引き ページ25
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「お札ってそんな簡単にとれんの?」
「いや、呪力のない人間にはまず無理だ!普通はな!」
中のモノと封印の年代からお札なんて有って無いようなものだけれど、虎杖くんはあまり理解していない様子で顔を顰めた。
それより虎杖くん、すっごく足速いな。私は二人を横目に屋根伝いで走ってるのに同じ速度だなんて。
『_!』
学校を目前にすると嫌な圧を感じた。間に合わなかったらしく封印は解かれているだろう。気配が大きすぎて指の場所も特定出来ない。
「オマエはここにいろ。部室はどこだ?」
「待てよ!俺も行く!やばいんだろ!?」
恵が虎杖くんに指示をするが彼は頷かなかった。友達だから放っておけないと言う。
…それが何なのだろう。私達には関係ない。
恵はもう一度「ここにいろ」と堅い表情と声で虎杖くんを切った。そんな彼に私は追い討ちをかける。
『虎杖くんは一般人でしょ』
「でも人よりは動ける!」
『それだけ?…足手纏いだよ』
「っ…」
息を呑んだ様子を見て言い過ぎたと後悔したが恵に呼ばれ、校門を飛び越えて虎杖くんに背を向けた。
「二手に分かれるぞ」
『…うん』
恵の指示通りに分かれて校舎内を走る。呪いは数体居るが多くはない。恐らく私の方に指は無いだろう。…合流する?でも_
『手数を増やすには丁度いいよね』
ま、恵なら大丈夫でしょ。
_____
呪霊を祓って、取り込む。奥へ奥へと足を進めながらソレを繰り返した。そしてその度に、不味いなと顔を顰める。
『結構取り込んだかな』
そう言えば、封印の解かれた両面宿儺をどうやって持って帰るんだろう。凄く危ないのに。
呪霊が迫ってきているのにも気付かないで、考えながら外を見た。
「みィ、つ_」
声が聞こえ、はっと振り向けば突風が吹く。呪霊の腕がぼとりと落ちたのに姿は無い。
「_もう、余所見は危ないよ?」
『…景、ありがと』
声と共に何処からともなく闇が漂い次第に人の形をとった。艶やかな黒髪を揺らし、鮮やかな紅色の瞳を優しく緩め、生前の_少年の姿で彼は笑った。
『助けてもらったのに悪いけど…』
「いいよ」
景は最後まで言わずとも理解して闇に溶け込み風を起こす。
そして、いつの間にか寄って来た呪霊達は瞬きの合間に跡形もなく消えていた。
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藤宮(プロフ) - 43 −ヨミ−さん» 初めまして。えっ…めちゃくちゃ嬉しいんだが?!?!私がこだわってる所に気付いてくださって…どうしよう嬉しい!ありがとうございます!頑張ります! (2021年11月19日 11時) (レス) id: 9fd58b0bd3 (このIDを非表示/違反報告)
43 −ヨミ−(プロフ) - 初めまして、コメント失礼致します。物語の展開や設定、キャラ間でのそれぞれの感情とか滅茶苦茶素敵でした…!!本当に魅力的で、思わず見入ってしまいました´`* 応援しております、土主様の無理の無い範囲で更新頑張って下さいませ…!! (2021年11月19日 1時) (レス) id: 1d67640196 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - プスメラウィッチさん» 初めまして。う〜〜んオチはすっっごく迷ってるところでして…ご意見聞けて良かったです!ありがとうございます!!頑張ります! (2021年10月10日 21時) (レス) id: 9fd58b0bd3 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年10月6日 10時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - 通りすがりの誰かさん» わざわざ応援してくださりありがとうございます!!嬉しいです。任命式、無事に成功しました〜!! (2021年1月6日 0時) (レス) id: c231945d30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤宮 | 作成日時:2020年10月28日 20時