23・静かなる約束 ページ25
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『しにたい……』
小さく。
本当に小さく、弱々しく呟く。
結局。私は夜蛾先生に見つかり、三人の悪事はバレ、捕まってお説教され初めてから今は随分と時間が経った。
おかげで私の酔いも覚めたがこれは中々に辛い。
何が楽しくて皆に醜態を晒さなければいけないのか。
本当に嫌だ。記憶を抹消して欲しい。
「まぁ良いじゃないですか。可愛かったですよ」
『見たんですか?!』
私の隣に座っている七海さんは、興味無さげにしておきながらバッチリ目撃したと。
思わず大声で返してしまった。
そして良くない。全然良くないぞ。可愛かったとしても全く良くない!!
『あぁもう〜〜〜…』
夜蛾先生がくれた人形を抱きしめて顔を埋める。…………このまま窒息死してしまおうかな。
「それで、酔いは覚めたんですか?」
『覚めました……』
心配してくれる七海さん優しいありがとう。
七海さん私の為に水買って来てくれましたもんね。今度お礼します。
七海さんの優しさとしっかりさを犯人三人にも見習って欲しいものだ。
有り得ないでしょ、子供騙してお酒飲ませるって。騙された私も悪いけど。
しかしパッケージまで偽装するとは……硝子さん、そんな技術どこで身につけるんですか。
『七海さんって何が好きですか?今度お礼したいんですけど』
「要りません」
『えっ即答……?』
もしかして七海さん私のこと嫌いだった?水買って来てくれたのは優しさ故の慈悲か哀れみだったの?
そうか……そうだったのか……。と結論付けて一人悲しむ私を七海さんは一瞥して口を開く。
「貴女の術式のことはよく知りませんが、将来有望だと聞きました」
『…………どうでしょうね』
そうだといいんですけど、と呟く私を華麗に無視して彼は続ける。
「呪術界の名家に生まれた貴女は呪術師になる以外の道も無いでしょう」
表情も変えないままそう言った。
「お礼をしたいと言うなら呪術師になってからにして下さい」
『…私が呪術師になるのはまだまだ先ですよ』
「ならそれまで死なないことですね、お互い」
死ぬな、だなんて。
まるで、呪いのような言葉を言う。
『良いですよ、いずれ任務でも一緒にしましょうね』
「機会があれば」
そう言って、七海さんは静かに笑った。
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藤宮(プロフ) - さくらさん» コメント、応援ありがとうございます!!頑張りますね、これからもお付き合い下さい! (2020年10月29日 20時) (レス) id: 6816ef7f40 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - コメント失礼します!楽しすぎて一気に見てしまいました!これからも応援してます!更新頑張ってください!! (2020年10月22日 21時) (レス) id: af1bba7450 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - 露亞さん» 申し訳ないんですが、ムウさん?という方ではないです…。好きな作者さんなんですか?応援ありがとうございます!ご期待に応えられるよう頑張ります!! (2020年7月5日 22時) (レス) id: 9eeede9267 (このIDを非表示/違反報告)
露亞(プロフ) - ムウ…さん?あ、違ったらごめんなさい!更新頑張ってください!! (2020年7月1日 19時) (レス) id: 5fe7b44b45 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - みーさん» いやもう、コメント下さるのが既に優しいっていうか…本当ありがとうございます!( ´ ` *) (2020年5月9日 14時) (レス) id: a3f9ffe9e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤宮 | 作成日時:2020年3月15日 4時