罪はたち あまり いつつ ページ27
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五条が初めて笑顔を私に見せた日から少したった頃。
あの日、私を置いて帰った甚爾さんに文句を言おうとこっそり禪院家に来た私だが…___
「なんとか言えよ」
今、面倒くさい輩に絡まれている。
まぁ見つかったのは私の落ち度だけど、まさか此処を子供が歩いてるとは思わなかった。
禪院家の裏庭の奥の奥、少し破れた塀。私と甚爾さんしか知らない場所だと思っていたのに。
(…こいつら、なんなのよ)
体格からして同い年くらいの三人の男子は、私が功幸家だと知っているのだろう。恐らく何かの訓練にでも来ていた禪院家の分家だけど…
「お前、術式を継げなかったんだろ?」
「俺らが体術でも教えてやろうか?お前じゃサンドバッグにしかなれないだろうけど」
「ははっ、言ってやるなよ」
なるほど体術の訓練だったんだ。
ケラケラと笑いながら「弱いに決まってる」とでも言いたげな物言い。頭が弱いのは丸わかりだな。
『禪院の分家の方ですよね?』
「そうだけど何?出来損ないの功幸様」
随分と煽ってくれる。でも五条の方が上手いな。
『なら、もっと頭を下げてくれないと』
「はぁ?」
『分家風情が頭が高いって言ったんです』
にっこり笑って告げれば、三人は表情が目に見えて変わった。ニタニタと気持ち悪く笑っていた顔は怒気を含む。
折角の忠告のつもりだったのに、どうやら分かっていないようだ。
「……自分の立場理解してるか?」
『理解していないのはそちらでしょう』
私の術式をあーだこーだ言ってるが、こいつらも本家の術式を継げていないタチだろう。
才能のある、本当に強い呪術師というのは、私のような出来損ないを視界にすら入れない。興味が無いからだ。
入っていたとしても、まるで居ない者扱い。
そうだな、例えば__
(こいつらの本家、禪院直毘人、とか)
だから、私に突っかかるのは五条くらいなもの。
「おい、クソガキ」
『同い年くらいと見受けられますが』
「うるせぇな!!」
私がガキならお前らもガキだぞ、という意味で言ったことは通じたらしい。
でもそれくらいで怒鳴らないでよ、喧嘩売る相手間違ってる。
「さっきから癪に障る…!!」
視界に映るのは、振り上げられた右拳。向かってくるのは私の方。
(…顔面狙いかよ)
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藤宮(プロフ) - 暁郗さん» 母 は 強 し 。……そう、母は強し……母は強し……コメント……ありがとうごぜェます……。 (2021年2月23日 20時) (レス) id: cdb1df32dd (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 母 は 強 し 。 (2021年2月23日 13時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - かわさん» えー?!同じ苗字ですか?!めっちゃミラクルですね!何だか私も嬉しいです!! (2020年12月31日 21時) (レス) id: c97ecbdc86 (このIDを非表示/違反報告)
かわ - まさかの同性の人が出てきて嬉しかったです!現実でも同じ苗字の人と親戚以外であったことがないので! (2020年12月31日 17時) (レス) id: e92a741f95 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - mimiさん» 悪いなんて!むしろ丁寧じゃないですか!凄く褒めて下さるのでめっちゃ嬉しいです。どうぞお楽しみ下さい!!! (2020年12月5日 19時) (レス) id: c231945d30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤宮 | 作成日時:2020年4月22日 0時