罪とお あまり よっつ ページ16
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倒れてから三日も経てば熱は下がり、私を家まで運んでくれたのは五条だと知った。
まさかあの五条が運んでくれるとは。
いつも私のことを貶しているのに、やっぱり目の前で倒れられたら放置するのも気が引けるのかな。
申し訳ないことしちゃった。五条からしたらいい迷惑だっただろうし、今回ばかりはお礼をしよう。
『ということで…』
お礼を持って五条家に来たが……流石、広い屋敷だな。
客間に通してもらい彼が来るのを待っていると、慌ただしい足音が聞こえて襖が乱暴に開いた。
「………なんでオマエが居るんだよ」
『こんにちは。やっぱ家でも行儀悪いんだ』
「あ"?」
あぁ違う。つい憎まれ口を……、
今日はお礼を言いに来たのに…と反省する。
行儀が悪いとは廊下を走ったことについて言ったのだが、挨拶をしなかったことだと思ったらしい五条は小さく「久しぶり」と言った。
なんだか少し、丸くなったのでは……?
「で、何の用だよ。ザコ」
なってねぇわ。
否定したいけどザコは事実。否定出来ないなと眉間に皺を寄せて我慢する。
『お礼をしに来たの』
「礼?……あぁあれ…オマエ、マジ重かった」
思い出したように納得してから文句を言い、「痩せれば?」と嘲笑した五条。
……………………文句だけなら、黙って聞こうと思っていたのに。
迷惑をかけたのは私だから、文句は黙って聞こうと思ってたのに。
毎回毎回、貶したり煽ったり。腹が立つ。
『……そうですね。貴方も病み上がりを貶すその口はさっさと直した方が良いかと。
あぁそれよりも、腕力を付けるのが先ですか』
にっこり微笑んで「うるせぇな、非力のくせに」と遠回しに言ってみる。言葉が刺々しいのは口が勝手にね。
五条は顔を歪めた。
「礼をしに来たんじゃなかったっけ」
『お礼はちゃんとするよ』
持っきたお礼の品を五条に渡して姿勢を正す。
『助けてくれて、ありがとう』
「……………………ん、べつに…」
全然素直じゃなかったけど返信はしてくれた。
もっと違う反応をすると思ってたんだけどな。
感謝されることに慣れてないのか、五条は少し頬が赤い。
知りたかったわけではないが、彼の新たな一面を発見した気分だ。
『…照れてる?』
「……………違う」
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藤宮(プロフ) - 暁郗さん» 母 は 強 し 。……そう、母は強し……母は強し……コメント……ありがとうごぜェます……。 (2021年2月23日 20時) (レス) id: cdb1df32dd (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 母 は 強 し 。 (2021年2月23日 13時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - かわさん» えー?!同じ苗字ですか?!めっちゃミラクルですね!何だか私も嬉しいです!! (2020年12月31日 21時) (レス) id: c97ecbdc86 (このIDを非表示/違反報告)
かわ - まさかの同性の人が出てきて嬉しかったです!現実でも同じ苗字の人と親戚以外であったことがないので! (2020年12月31日 17時) (レス) id: e92a741f95 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - mimiさん» 悪いなんて!むしろ丁寧じゃないですか!凄く褒めて下さるのでめっちゃ嬉しいです。どうぞお楽しみ下さい!!! (2020年12月5日 19時) (レス) id: c231945d30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤宮 | 作成日時:2020年4月22日 0時