罪みそじ あまり ななつ ページ39
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Aは元々、接したことのある男子が五条くらいしか居らず、その五条とも仲が悪い為に普通の男子とどう接したらいいのかイマイチ掴めていなかった。
しかし夏油が比較的柔軟な性格の上にAと仲良くしようとしてくれるので、Aにとっても話しやすい相手であり、自然と笑みが零れる。
「それでそのとき__」
『へぇ、じゃあさ__』
休日の同じソファ。人一人分にも満たない距離の中で、二人は他愛無い話をした。周りに花でも見えるかのように二人ともふわふわと笑っている。
そうして暫く話していると、Aがうつらうつらと目を瞬かせた。その様子を横目で見た夏油は静かに口角を上げる。
「寝てもいいよ」
待っていた。
疲れていると知りながら話そうと言ったのはコレを狙っていたから。
Aは小さく首を振って部屋に戻ると言うが、夏油はそんな彼女を自分の肩に寄りかからせる。寝まいと踏ん張っていたAもそうされては睡魔に負けてしまった。
「はは、……悔しいかい?」
夏油は笑いを零して、何処ともなく話しかける。
そこは、何も無い空虚___の筈だった。
「_悟」
ずっと居ただろう?と、仏のような笑み。チッ、と舌打ちが聞こえた。
「…何してんだよ」
「何って…見ての通りさ。話してたら寝てしまったみたいでね」
「白々しい。図っただろ」
「どうかな。…見てたなら分かるだろう?」
拉致の開かない言い合いに五条は顔を歪める。
本当にずっと盗み見ていたもので、夏油が図ったようにも見えるしそうでないとも言える微妙なラインだった。夏油も分かってて言ってるのだろう。
五条はドカ、とAの横に腰掛けて彼女を引き寄せた……が、それは夏油に防がれる。
怒りを滲ませた五条と冷静な夏油。二人の視線が交わった。
「ちょっと」
一触即発の空気、そこに凛とした声が響く。そこに居たのは家入だった。彼女は五条と同じく、ずっとこの状況を盗み見ていた一人である。
「ケンカなら後でやれよ、Aが起きるでしょ」
ズバリと言われた二人はバツの悪そうな顔をして目を合わせた。
「あと私じゃ無理だから、どっちかAのこと運んで」
「なら私が_」
「いや俺がやる!」
一段と大きな声で聞こえたそれに、夏油と家入は揃ってため息をついた。
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藤宮(プロフ) - 暁郗さん» 母 は 強 し 。……そう、母は強し……母は強し……コメント……ありがとうごぜェます……。 (2021年2月23日 20時) (レス) id: cdb1df32dd (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 母 は 強 し 。 (2021年2月23日 13時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - かわさん» えー?!同じ苗字ですか?!めっちゃミラクルですね!何だか私も嬉しいです!! (2020年12月31日 21時) (レス) id: c97ecbdc86 (このIDを非表示/違反報告)
かわ - まさかの同性の人が出てきて嬉しかったです!現実でも同じ苗字の人と親戚以外であったことがないので! (2020年12月31日 17時) (レス) id: e92a741f95 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - mimiさん» 悪いなんて!むしろ丁寧じゃないですか!凄く褒めて下さるのでめっちゃ嬉しいです。どうぞお楽しみ下さい!!! (2020年12月5日 19時) (レス) id: c231945d30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤宮 | 作成日時:2020年4月22日 0時