罪はたち ページ22
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『ってことがあって、本当意味不明だった』
「ふーん」
興味無さげに携帯を弄りながら答えた甚爾さんにムッとする。聞いてなかったなこれは。
今日私は、普段は足を踏み入れないようなフードコート店で彼と久しぶりに会っていた。
『ちょっと聞いてます?』
少々威圧的に言えば、甚爾さんは私を見てから携帯を置いて頬杖をつく。
呆れたようにため息が吐かれた。
「まずそのガキの名前を教えろ」
『えー…無理です』
「じゃあ話は聞かねぇ」
『何でよ、…ケチ』
小さく文句を言えば睨まれたのでサッと視線を泳がす。
言えないのは仕方ない。だってアイツは五条で甚爾さんは禪院だから。しないかもしれないけど喧嘩しそうで嫌です。
御三家って仲悪そうだもんなー、とストローに口を付けた。
「で、話はそれだけか?呪詛師殺し」
『その呼び方止めてよね、術師殺し』
お互い煽るような笑みを口元に浮かべる。
私達の呼び方が聞こえていたのか、横を通ったお客さんがぎょっとしていた。まぁ
「人殺しって呼んでやろうか?」
『それはお互い様でしょーよ』
今もなお続いている、上との関係。
もうずっと前から後戻りなど出来ないのだ。上からの依頼は次から次へとやってくるし。
きっと呪詛師を殺す感覚も、呪いを殺す感覚も大差ない。一人目を手にかけた時点で覚悟も出来ていた。
「これからも続けるのか?」
『うーん、まぁね』
これからも、罪を重ね続けなければ。
それが、私と私の術式に必要なのだから。
「そのせいで命を狙われても?」
『仕方ないでしょ』
私だって、いっぱい奪ってる。
『やけに心配するね。私が大事?』
「寝言は寝て言え」
『ひど…』
普段の彼らしくないな、と少し調子に乗っただけなのに。寝言、寝言ね。随分酷い言葉が帰ってきてしまった。
あーあ、ひどい、私傷心だわーと、わざとらしく言いながら椅子の背もたれに背中を沈ませて
ジュースを飲み、外に視線を向け__
その時に視界の端に入った、白銀と碧。
『ん、ぐっ』
思わずジュースを吹き出しそうになって寸のところで止めれば変な声が出た。
甚爾さんが「急にどうした」と言うように、訝しげに私を見る。
違う、今のは不可抗力です。
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藤宮(プロフ) - 暁郗さん» 母 は 強 し 。……そう、母は強し……母は強し……コメント……ありがとうごぜェます……。 (2021年2月23日 20時) (レス) id: cdb1df32dd (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 母 は 強 し 。 (2021年2月23日 13時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - かわさん» えー?!同じ苗字ですか?!めっちゃミラクルですね!何だか私も嬉しいです!! (2020年12月31日 21時) (レス) id: c97ecbdc86 (このIDを非表示/違反報告)
かわ - まさかの同性の人が出てきて嬉しかったです!現実でも同じ苗字の人と親戚以外であったことがないので! (2020年12月31日 17時) (レス) id: e92a741f95 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - mimiさん» 悪いなんて!むしろ丁寧じゃないですか!凄く褒めて下さるのでめっちゃ嬉しいです。どうぞお楽しみ下さい!!! (2020年12月5日 19時) (レス) id: c231945d30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤宮 | 作成日時:2020年4月22日 0時