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「だから、えー、なんと言いますか、今はまだ遊真くんが言うとおり無理はさせなくても、その、いいんじゃないかと……」
ふと我に返ったわたしの語尾がどんどん萎れていく。
やばい喋りすぎた、陰キャのくせにしゃしゃってしまった。なんだこいつエラそうにって絶対思われてるよ、あ〜しくった〜(死)
「なるほど、なんかストンってきた。なまえさんはさすがだな」
「エ!?いやそれほどでも〜……」
遊真くんはやはり神様だった。わたしの分かりにくい助言も最後までちゃんと聞いてくれて、しかもさすがだなんて言ってくれるなんて。いや気分良!?!?
わたしの言葉を噛み締めるようにうんうんと頷いた遊真くんはどこか晴れ晴れとした顔でわたしに感謝を述べる。
あっそんな、わたしなんかに感謝とかしなくても……(照)
「いやほんと、なまえさんに相談して良かった」
「そんなそんな、えへへ……」
「てことでとりあえず試合終わらせるか」
「エ」
《 トリオン供給機関破損
「わるいな、なまえさん」
「……許す!!」
ブースから出てきてそんなかわいい顔すれば許されるとでも思ったのか!大正解だ!!お代は頭もふもふさせてくれればいいよ!
わたしに大人しく撫でられる遊真くん。はわわ、わたあめだあ……
「さっきの話はチカにも伝えておくな。きっとチカの為になると思うから」
「あ、うん……よろしく伝えておいて……」
わたしはふわふわのわたあめを堪能したあと、すっかり忘れていた緑川くんの元まで急いで戻る。案の定ほっぺたを膨らまして待っていた緑川くんはわたしたちに気づくと闘牛の如く飛び出してきた。
イヤー!助けてクガえもん!あそうだクガだ!思い出した!!
「ねえ!2人で何話してたの!?」
「それはおれたちの秘密だ。な?なまえさん」
「うぇ!?あ、はい?」
「ずるいーー!オレもAちゃんと秘密共有したい!!」
飛んできた緑川くんをさらりと受け止めた遊真くんはどうやら見た目よりゴリラらしい。
もっと他に言い方無かったのかと思うかもしれないが、生憎失礼な表現しか思いつかなかった。すまんなゴリえもん。もう遊真くんの要素一切ないが。
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作者名:藤丸 | 作成日時:2023年2月26日 23時