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「あのさ、おれちょっとなまえさんに聞きたいことがあるんだけど」
「ひえ、な、なんでしょうか?」
「あの時なまえさんわざと狙撃外してたよね。あれ、なんで?」
……いやバレてたのかーい。
あの時というのはもちろん遊真くん倒すぞ計画の時のことだ。実はあの時わたしは一発も遊真くんに当てていない。サボっていると思われないように体すれっすれで外してたのまじ心臓縮んだ。
「今も武器出してないし、もしかしてなまえさん、人を撃てないのか?」
「エ?」
なになに、どういうこと?
……あ、そういうこと!?
どうやら遊真くんは盛大な勘違いをしているらしい。あの時わたしは遊真くんを撃っても意味ないと思ったから撃たなかっただけだ。それを彼はわたしが人を撃てないと解釈したらしい。
ちなみに撃たなかった理由としては遊真くんが悪いことをした近界民じゃないからだ。無実の近界民を寄って集って虐めるなんてわたしには出来ない。
それにチビッ子には優しくしろって鬼怒田さんに教わったからね。あの人意外と子供に優しいんだよ(失礼)。
それと、今武器を出してないのはただ負けを確信してたからってだけで撃てないとかそういうのじゃない、全然。ただの全てを諦めた無様な人間の行いだよ。
わたしはかくがくしかじかで遊真くんにそう伝える。そしたら納得したような顔で「勘違いしてごめんなさい」と謝ってきた。いいのよ、変に分かりづらいことしたわたしが悪いんだから。
え?「おれのことそう思ってくれてありがとう」だって?いやいやいやいやうちのボーダー隊員がほんとすみません。貴方は無実です。
「えと、聞きたかったのはそれだけ?」
「いや、実はなまえさんが人を撃てないとしたら相談したかったことがあるんだけど、話してもいいか?」
「ああどうぞどうぞ」
その相談がどういうものなのかは分からないけど、わたしに話して解決するならどうぞ言ってください。お詫びにすらならないけど是非とも力になりたい。
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作者名:藤丸 | 作成日時:2023年2月26日 23時