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「なんか今失礼なこと考えた?」

「いいえ。」

「Aちゃんも存外分かりやすいよね」




やー、なんのことだか。それより早よ退かんかい。


わたしはついに我慢出来なくなってぐいぐいと緑川くんの肩を押す。さっきざわついていたギャラリーは新たな松潤を見つけたのかもう見当たらないが、ひょんなことからまた集まってきたらまずい。あっちょ、体重かけないで!




「でもすごいよね、Aちゃんて毎回相手の考えてること分かっちゃうんだ」

「あ、いや、毎回ってわけでもないですけど」

「あー、謙遜してる」

「いやいや……」




しぶしぶ起き上がった緑川くんはちょっぴり悔しそうにわたしのことを褒めてくれる。いやーわたしも今回はよくやったと思うんだよね!もっと褒めてもいいんだよ!




「ふふふ……」




久々に人に褒められてホクホクしているわたしに、いつの間にか悔しさじゃなく慈愛をこめた眼差しを向けてくる緑川くん。わたしの方が年上なのに恥ずかしい。表情筋もどれもどれ。




「てかさ、その『緑川くん』っていうのやめようよ。オレとAちゃんの仲でしょ?」

「?あ、はい。それでは……」




上がりきった口角を戻すようにほっぺたをこねこねしていたら、緑川くんはふっと笑ってそう言い出す。


まあ確かにわたしと緑川くんってそこそこ付き合い長いし、そろそろ呼び方を変えてもいい頃合いかもしれない。




「これからは『緑川様』と呼ばせていただきます。」

「違うよ!?な・ま・え!名前で呼んでってこと!」

「え、緑川くんを名前で呼ぶなど滅相もない……」

「どういうこと!?」

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作者名:藤丸 | 作成日時:2023年2月26日 23時

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