【WT】ラン・アウェイ!! (ページ22)

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「あーーーしんど……」

緑川くんと殺り始めて……じゃないやり始めてこれで何度目かの緊急脱出(ベイルアウト)。そろそろ体力的にも精神的にもキツくなってきたからやめたい。緑川くん毎回何してくるか分からないから疲れるんだよ(白目)。

そう思いながらマットレスの上でゴロゴロしているとちょうど今のが10戦目だったらしく、モニターに試合結果が映し出される。ちなみに10戦目が相討ちで結果は5-5だった。いえーい引き分け。

さっさとマットレスから起き上がってよくやったわたし、と自画自賛しながらブースを出ると、腰に何かが突進してきて盛大に転けた。なんだなんだ、敵襲か！？

「Aちゃん！」

「ギャー！え、なに！？なんですか！？」

「最後の！どうして分かったの？」

「最後……？」

突進してきたのは案の定向かいのブースから出てきた緑川くんで、反動で仰向けに転がるわたしに重なるように緑川くんが乗っかっている。お前は闘牛か、絶対腰の骨何本か逝った。

それよりこの体勢は精神的にしんどいので早く退いて欲しいところだが、緑川くんこと闘牛は一切退く気がなく、あろうことかそのまま話し出した。間違えた闘牛こと緑川くんだ。闘牛が隊員なんてどうかしてるだろボーダー。

「相討ちになる前のオレの攻撃、防いだでしょ？あれ絶対いけたと思ったのに」

「あ、えと、その……緑川くんならそうするかと思ったので」

「えー！？バレてたんだ〜」

「緑川くんは分かりやすいから……」

緑川くんみたいな闘牛を、間違えた動物的な思考を持つ人間を相手にするときは、その相手になりきってイメージすると一手を予測しやすいとわたしは思っている。

緑川くんが言っている相打ちの前の時も、わたしが緑川くんだったら一瞬のわたしの隙を見逃さないと思ったから防御出来たのだ。

にしても緑川くんほどイメージしやすい人間は他に居ない。最早わたしが緑川駿を名乗っていいまである。やーい単細胞。