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わたしに似て自己肯定感が低いんだなあ、と勝手にしみじみとする。
そんな彼を元気づけるようにわたしは精一杯の笑顔を見せた。……待ってちゃんと表情筋働いてる?なんか古寺くんこっち見て笑ってるんですけど。
「そっか。」
わたしの顔芸(したつもりはない)にひとしきり笑ったあと、話してくれてありがとう、と改めて微笑む古寺くん。わたしのより数倍価値のある笑顔だよこれ。てかわたしの笑顔(仮)で笑いすぎな。
それはさておき、今回古寺くんが聞きたかったことをちゃんと話せたかどうかが一番の心配どころだが、満足そうに残りのコーヒーを飲む彼を見るとそんな心配は杞憂だったようだ。わたしにもまともな会話が出来た、とちょっと嬉しくなる。
「それじゃ、そろそろ出ようか」
「あっ、はい!」
ふと携帯の時間を見ると、ここに来てから既に2時間経過していたことが分かった。そんな長い間話せたのかわたし、と自分の未知の可能性に驚く。
普段は長時間人と居ると疲れ果ててしまうわたしだが、まだそれほど倦怠感がない様子を見ると今日はなんだかんだ結構楽しかったようだ。
「(うん、本当に楽しかった……と思う。)」
どこに楽しさを感じたのか自分では正直分からないが、多分こんなわたしが誰かと一緒に時間を過ごすことが出来たという事実がただ嬉しかったのだと思う。これでわたしが古寺くんと親友であるという既成事実が完成してしまった(嬉)。
また一緒にお出かけしてね、なんておこがましくて言えないから、今日のことは一生忘れないようにしよう。
先にレジに行ってお会計してくれている古寺くんを待たせないように急いでぬるくなった紅茶を流し込む。それは一人で飲む淹れたての紅茶より、なんだかあたたかく感じた。
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「そういえば古寺くんって玉狛の宇佐美先輩に気があるんだよね。手伝ってあげようか」
「誰から聞いたの!?」
「米屋先輩。」
あれからわたしと古寺くんは冗談を言い合えるほどの仲まで進展した(拍手)。
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作者名:藤丸 | 作成日時:2023年2月26日 23時