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「今ではもうだいぶマシになったけど、あの頃は本当に迷惑かけたなあ」
自分のことでいっぱいいっぱいだったあの頃を思い出して苦笑いする。わたしをチームに入れたこと絶対後悔してるよ三輪先輩。月見先輩もわたしの声が聞こえるまで何度も無線確認してくれてさ。それ全部繋がってたけど。
「あぁぁぁ思い出したら鬱になってきた……」
「あはは……」
今のわたしならもうちょっと役に立てたかな、なんて未練がましく呟く。それを聞いて少し渋い顔をする古寺くんはなんだか良くない誤解をしているようなので、わたしは少々焦りつつもしっかり誤解をとく。
「あ、あのね!確かに今のわたしが三輪隊だったらって思ったけど、全然後悔はしてないよ!だって、」
わたしは頑張って、……頑張って頑張って、目の前の彼と目を合わす。
「今の三輪隊には、わたしじゃなくて古寺くんが必要みたいだし。」
この前久々に奈良坂先輩と会ったらめちゃくちゃ弟子自慢されたからね。奈良坂先輩の古寺愛が止まらん。多分三輪先輩たちも。
やっぱりどこか不安があったんだな、と目の前の彼を見て思う。
確証はないが、古寺くんは自分よりわたしが三輪隊に居た方が良いんじゃないかと思ったのだと思う。わたしが三輪隊に未練がある素振りを見せたから。
優しい古寺くんは、三輪先輩に認められるほどの狙撃の腕があって、ましてや三輪隊に戻りたいと望んでいるわたしの存在を慮って、自分が三輪隊である自信がなくなってしまったのだ。うーん分かる。分かりすぎてなんか辛い。
でも正直本気で三輪隊に戻りたいなんて思ってないし(薄情)、三輪先輩に認められた点については貴方も同じなんだから自信持って!
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作者名:藤丸 | 作成日時:2023年2月26日 23時