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それからわたしは三輪隊として行動する度どんどん自分の存在価値が分からなくなっていった。
日に日に上手くなる謝罪の言葉、A級隊員としてのプレッシャー、周りからの期待に応えられない罪悪感。様々なものがのしかかって、当時まだ正隊員になりたてだった未熟なわたしの心はいとも簡単に潰されてしまった。
「Aちゃん、最近なんだか顔色悪いわね……」
「そうっすね。アイツ任務の時以外は部屋に篭もりっぱなしみてーだし、ちょっとオレ心配っすわ」
その状態でこれからも三輪隊で居続ける覚悟ができなかったわたしは、先輩たちの心配する声を無視して自室に引き篭もり、震える手で三輪隊の脱退申請書を書き始めた。
頭の中で響く『またそうやって逃げるのか。』という誰かの声に何度もペンを置こうとしたが、わたしの心は完全にもう辞めたい、逃げたい、という気持ちに傾いていた。
「判子……判子どこやったっけ……」
ここ何日かで酷くなった胃痛に苛まれながらもやっと書き上げたそれに判子を押して、それを半ば強引に城戸司令に押し付けた帰りには、喪失感やらほっとしたやらで感情が爆発して普通に泣いた。
あとからそのことを知った先輩たちは、勝手すぎるだの、なんで相談しなかっただの、それはもう怒りに怒っていて、先輩たちが本気で怒っているところを見たことがなかったわたしはその日半泣きで謝り倒した。
先輩たちの前で土下座をしながら『脱退申請書を出した時も死ぬほど泣いたのに、今日もまた涙は出るのか。』とどこか他人事にそう思う。
ちなみに月見先輩にはその日一日口を聞いて貰えなくて、既にメンタルが死んでいたわたしは軽率に泣いた。
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作者名:藤丸 | 作成日時:2023年2月26日 23時