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それからというものわたしのコミュ障が改善されることはなかった。むしろあの漫才披露事件からとにかく気まずくてさらに酷くなった。死にたい。
今日の任務でも三輪先輩からの指示を聞き逃して自分だけ
じわじわと滲む涙を無理やり引っ込めて、わたしは隊室に戻ってきた先輩たちに向き直った。
「あ、あの、ごめんなさい」
「いいのよ。誰にだって苦手なことはあるもの。それにAちゃんは指示したことはちゃんとやってくれるじゃない」
そう言う月見先輩に怒る様子は全くなく、寧ろわたしを気遣うような言葉をかけてくれる。他の先輩たちも月見先輩と同じ考えなようで、3人揃ってうんうんと頷いていた。
「まーおまえがそんなんでも任務に支障はねーし、別にいいんでねーの?」
「最低限生存確認さえ出来れば俺は構わない。」
「三輪もそう言っているし、気にするな」
「……すみません」
それでも自分がA級部隊の
先輩たちの励ましの言葉すら素直に受け取れず、先輩たちにフォローをさせてしまったというネガティブな考えがわたしを自己嫌悪に陥れさせる。
わたしにとってチームの足を引っ張っているということより、わたしをチームに入れてくれた先輩たちの厚意を無下にしているという事実がどうしようもなく辛くて苦しかった。
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作者名:藤丸 | 作成日時:2023年2月26日 23時