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時は2年前。
わたしがまだB級上がりたての頃、初めての防衛任務で起こった悲劇の話。




「三輪くんが防御(ガード)を削るわ。奈良坂くんとAちゃんはそこを狙って」

「はい」

「……っは、い」




B級に上がって早々三輪先輩にスカウトされ、晴れて三輪隊の一員となったわたしは初の防衛任務でとある壁にぶつかっていた。




「Aちゃん?無線、繋がってるかしら。ごめんなさいちょっと声が聞こえづらくて」

「ぁ、つ、繋がって、ます……」

「え?」




それは隊員同士でのコミュニケーションだ。


チーム戦で一番重要だと言われているそれは、小中で陰キャを極めてきたわたしにとって一番苦手とするものだった。


第一話しかけられて咄嗟に声が出ない。指定された文章を読んだりする分には問題ないのだが、自分にとってイレギュラーな文章、即ち会話やアドリブ漫才になると声が全く使い物にならなくなる。


このままでは先輩たちに迷惑がかかってしまうと思ったわたしは、任務が終わった後の撤収の時間に対話の練習をすることにした。これを先輩たちに聞かれでもしたら恥ずか死ぬので、キチンと無線はoffにしてある。




「よし……『分かりました』『山田了解』『ありがとうございます』『助かりました』」




まずは最低限のマナーである返事とお礼から。これを毎日やっていればいつかは上手く言えるようになるだろう。しっかり話せるようになって、いつかみんなの役に立てるスーパー狙撃手(スナイパー)になるんだ!

・→←CHAPTER3 古寺章平



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作者名:藤丸 | 作成日時:2023年2月26日 23時

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