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なぜそんな、騙された程にしたのか。
普通の恋人なら、何勝手に見ているんだと怒ると思う。
それか逆に見た方が、何よこれって怒るかだ。
俺らは長年付き合っているが、北山のこんな姿を発見するのは初めてだった。
普段の北山から、そんな事をするなんて想像も付かないし、
俺が戻ってきたのも気付かないほどに、夢中に見入っていた様子だったし…。
勝手に見るのはよくないかもしれないけれど
スマホをチェックしたくなるほど、何か不安にさせたんだろうと思った。
見られてやましいものはないが、不安にさせたなら、俺にも非がある。
だから、何も言わず騙された程にしたのだ。
でもそれ以降、そんな姿を見ることは全然なかった。
お互いその話に触れることもなく、北山が何か俺に探りを入れたりすることもない。
今まで通りの恋人関係が難なく続いた。
しかし、変わったこともある。
K「ふじがや…」
甘い声で俺を呼びながら、手を取って服の中へ入れてくる。
触ってと言う風に。
「…北山、明日早いでしょ」
K「いいから…」
ほぼ毎晩だ。北山が夜を求めてくる。
俺たちは元々そういう回数は平均的だったと思うが
北山から求められるのはレアだった。
だから、求められたら俺も止められなくて…
結局ほぼ毎晩重ねている。
この前、寝室のゴミ箱に捨てられているゴムの量を見て、息を吸ったほどだ。
そして、もう一つ変わったこと。
「北山、ダイエットでもしてるの?」
目の前の裸体を撫でながら、ずっと気になっていたことを、甘い雰囲気を壊すような普通の喋り方で思わず聞いてしまった。
最近北山が、みるみる細くなっている。
K「えっ?あ、あー…。舞台でガタイでかくなっちゃったから、落とそうかなって」
「んーでも、ちょっと急激に痩せすぎてるように感じるんだけど」
北山は顔に出やすい。
そうかな?と言った顔は、惚けているのが丸出しだった。
この様子は、きっと自分でも自覚があるのだと思う。
思い返せば、ちゃんと食べているところを最近見ていない。
「もしかして体調…」
K「ち、ちがう!全然大丈夫。あー…ちょっとダイエット頑張りすぎたかな!抑える、ね」
心配させて申し訳ないと思っているのか、眉を下げた表情が可愛くて、愛おしい。思わず少しこけてしまった頬を撫でた。
「今日は…寝る?」
K「…やだ」
普通に仕事しているし大丈夫だと思うが
もしかしたらを考えて、その日の晩はゆっくり愛した。
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ちび(プロフ) - めっちゃ良かったです。どうなるんかとドキドキしました、いわゆる嫉妬の話だったんですね。めっちゃ可愛いかったです⚪︎ (2023年3月16日 23時) (レス) @page11 id: ff59837987 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:櫻弓 想 | 作成日時:2022年11月28日 20時