【五条悟】毒林檎中毒【呪術廻戦】 (ページ10)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:7,728 hit

三章:熟れかけ林檎ページ10

Aside

・

それから私は半日程でこの空間に慣れ、皆と話に花を咲かせていた。

とんだ勘違いをして申し訳無かったと思っているが、悟はそこまで気にしていない様子。

それにほっと安心した。

私の荒んだ心も大分穏やかになり、丸くなってきたと思う。

今では『ありがとう、悟』なんて思っている。

ただその気持ちはまだ浅く、熟れきってはいなかった。

...そして、休憩時間の終わりを告げる鐘が鳴り終わった時、次の授業の準備をしに先生が来た。

教卓に教材を置けばそのまま私と悟に視線を遣る。

「...放課後、白雪に任務が入った。まだ白雪も任務に慣れていない。悟、同行を頼んだ」

『分かりました』

「何で俺なのって言いたいとこだけど、まあ一緒に行ってやるよ」

...ほんの少しだけ、嬉しかったような。

否、心強かったのかもしれない。

・―・―・―・―・―・―・―・―・

それから、三時間目、四時間目...と時は順調に進み、今から放課後。つまり任務だ。

「低級呪霊の駆除を頼みたいらしい。場所は隣町の廃ビルだ。...頼んだ」

『任せてください。...行ってきます!』

そう言って先生と離れ、私は悟と共に補助監督さんの車へと乗り込んだ。

隣町だから車で二、三十分くらいで着くだろう。そう思いつつ窓の外を眺め移り行く景色を目で追っていた。

車のエンジン音だけが響く車内で、先に口を開いたのは悟だ。

「...つーか、術式が磁力っつってたけど、殺傷能力とかあんの?」

未だに術式の事を考えていたらしく、渋い顔で問われる。

最強もこの原理は分からないだろう。

『...じゃあ、今から試してみる?』

実演が一番分かりやすい。故にそう問う。
今やれば、確実に悟は死ぬ。私の術式は、呪力で内側から干渉するから止めようが無いのだ。

否、体内で呪力を自在に操れる者には全く効かないが。

「...いや、それは止めろ。...俺は、原理だけ知りてぇの」

『悟、理数系得意でしょ?＿＿なら、見れば分かるから』

教えるのはお預け。

きっとこの人ならば分かるだろう。そんな期待を込めて。

.