英雄から二歩 ページ3
「合計131っと。まぁ他んところがかなり痛手を負ってるから、五分五分って感じだなぁ」
……この人が喋ると、空気が緩む。
『隊長、もう少し、厳格さを長引かせて欲しかったです』
「えっ、俺そんなに雰囲気ない?」
ちょっとショック……と落ち込んでいる姿からしても、微塵も雰囲気など感じられない。
「でもその分親しみやすくて私は好きですよぉ」
「おぉ、ユイコ……!!なんて良い奴なんだ……!!」
『はいはい、この人たちと話してると、緊張感が薄れて困る……』
はぁ、とわざと大きめに溜息をつき、隊長を見据える。
『全体としての戦況はどうなんですか?』
隊長は直ぐに座り直し、気を引き締めるように襟を質した。
「こちら側が押されている、という感じだな。どうやったか知らねぇが、こっちの手の薄いところをきっちり狙ってきやがる。優秀な間諜でも手に入れたのか……?」
そして、こちらに意見を求めるように目線を流す。
「どうだった?何か異変を感じたところは?」
「私は特になかったですけどぉ……」
『心当たりなら……』
そう言うと、2人分の視線を感じた。
『向こうの敵に、妙に強い奴がいたんです。深手は負わせたと思うんですけど、仕留め損ねました。……初めは攻撃してこないから、竦んでるのかと思ったんですけど、こっちがしかけた途端、人が変わったように反撃してきて……。負傷者3名のうち、2名はそいつに返り討ちにあったやつらですよ』
2人は顔を見合せ、もう一度こちらに視線をやった。
「本当か?」
「嘘でしょぉ……?」
『なんで嘘つかなきゃいけないんですか。本当の話ですよ。その負傷したやつらに聞けばわかりますって』
隊長が慌てたように椅子からおり、額に手を当てながら、うぅんと唸った。
「いやだって、総括直下特攻第二部隊だぞ?あの特攻二部だぞ?その中のエースで称号持ちの、Aだぞ?そいつに強いって言わせるかよ」
『向こうも称号持ちとか?』
「今のところ、把握してる中では称号持ちはいなかったはずなんだがなぁ……。もしそうだったら厄介だな」
隊長の隣でユイコもうんうんと頷く。
「こんな人が敵に居るなんてぇ、厄介すぎますよねぇ」
『貴方達は私をなんだと思ってるんですか……?』
怒りをあらわにし、本気で隊長を殴ろうか、と指を鳴らすと、逃げられた。
ちくしょう
後に2人はAを怒らせてはいけない、と語り継いだそうだ。
To Be Continued
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こんにちは - とても面白いので更新期待してます……よろしくお願いします! (2022年8月29日 18時) (レス) @page15 id: 561b81e9d3 (このIDを非表示/違反報告)
あの。(プロフ) - ここさん» ありがとうございます。私情でしばらく筆を置いてしまい、お待たせしてしまっています。これから更新していこうと思っていますので良ければ気長に待って貰えると嬉しいです。 (2020年2月9日 8時) (レス) id: d990767fad (このIDを非表示/違反報告)
ここ(プロフ) - とても面白かったです(^-^) 更新をお願い致します!! (2019年12月29日 2時) (レス) id: 9ab82a9f0f (このIDを非表示/違反報告)
あの。(プロフ) - あかさたなさんさん» 嬉しいコメントありがとうございます。遅筆ですが自分なりに頑張っていきたいと思います。励みになります。 (2019年10月6日 19時) (レス) id: d990767fad (このIDを非表示/違反報告)
あかさたなさん - お話面白かったです。これからも頑張ってください。 (2019年10月6日 16時) (レス) id: e7421af52a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あの。 | 作成日時:2019年3月23日 16時