No side＊＊＊ ページ10
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｢それは真か？｣
この本丸の、ほとんどの刀剣が広間に集まっていた。
その中心に、加州清光と大和守安定が、内緒話をするかのように肩を丸め、周囲をはばかる声音で答えた。
｢あぁ、俺も安定も、あの審神者から直接聞いた。嘘って可能性も無くはないけど｣
加州の言葉に安定がぽつりと零す。
｢僕は本当だと思う｣
その言葉に刀剣たちが目を鋭くした。
絆されたか、と思ったのだ。
それに気づいてか、安定は慌てて付け加えた。
｢あぁ、その審神者の話が、さ、現実味あったし、もし嘘だったら初めに言った方が効果がありそうだし。
それにお風呂であったのも、向こうは誤算だったと思うよ｣
それには加州も頷く。
｢確かに、嘘って感じはしなかった。話し慣れたみたいで淡々としてたし。同情誘おうって思ってる感じもしなかった｣
思い出したように安定。
｢あ、あとあの審神者、僕の名前知らなかった｣
その言葉には、さすがの刀剣たちも驚きを露わにする。
｢審神者なのにか？｣
へし切長谷部の言葉だったが、ほとんどの刀剣が同じことを思っていた。
｢確かあの審神者、初心者って言ってた｣
安定が思い出そうと、人差し指を顎の辺りに当てながら言う。
｢だったらなんで、加州のことはわかるんだ？｣
と、鶴丸国永が疑問を呈す。
｢あ、それはあの審神者の初期刀が俺だから。
あの審神者が初めに俺らを広間に集めたとき、手に持ってたの見て、俺が刀解されないか不安になったの覚えてるから｣
加州がそれに答える。
｢なるほどなぁ｣
鶴丸は合点がいったというように深く首を縦に振る。
｢でも、なんで政府は初心者なんてここに遣ったんでしょうね｣
粟田口派の、前田藤四郎が思案するように呟く。
途端に刀剣たちが前田藤四郎に向いた。
｢あ、すみません、口に出てましたか？｣
前田藤四郎が申し訳ないといった様子で謝罪を口にする。
｢いや、もっともな疑問だ。確かにな……。ふむ、少々引っかかるな。あの審神者は、しばらく様子見することにするか｣
三日月宗近が皆に呼びかける形で宣言する。
｢本気ですか！？｣
一期一振だ。一期一振は動揺をあらわに、身を乗り出して尋ねた。
｢あぁ。あの審神者の話も気掛かりではあるしな。なに、この中の誰かに害を為せば即刻切り捨てるがな｣
三日月宗近は宥めるといった様子で一期一振を座させた。
季節は冬、
雪あかりのせいで、薄暗く、痛いほどの寒さの夜のことだった。
畑仕事は順調ですか？……おじいちゃんに邪魔されます。side審神者→←side審神者 其の参
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作者名：あの。 | 作成日時：2019年2月9日 17時
