31話目 ページ31
「はぁ…眠れない…。」
3組の布団が敷かれ、私は真ん中、左右からは規則的な寝息が聞こえてくる。
…こんな訳のわからない状況でよく眠れるよね。警察関係者って、これくらい図太くないと勤まらない世界なのかな?
「どうしたの、眠れない?」
「な、何となく目が冴えちゃって…。剛はちゃんと寝ないと明日の仕事に差し支えるよ。」
「…こんな時は…夜の運動すればすぐに眠れるのにね〜。」
眠そうな目を擦り、ニヤけた顔をする。
「…その運動なら俺も参加させてくれ。」
「げ、源、起こしちゃった?って、そんな運動はしません。」
「何だ、残念。」
源は大きな欠伸をしてフッと鼻で笑った。
「おはようございます。これお土産です、良かったら食べて下さい。」
出勤して、昨日のお土産を配り歩く。
「Aさん、温泉に行って来たんだ?」
「うん、日帰りの予定が今朝帰ってきたの。」
「へぇ、彼氏が離さなかった…とかですか?」
新入社員の西くんと東くんが「羨ましい〜。」と身をよじった。
「そ、そんな訳ないでしょ!?あ、良かったらどうぞ。」
デスクで難しい顔をしている北さんに声をかけるとにこやかな表情に変わり、「羨ましいな。」とからかってくる。
「北さんこそ羨ましいですよ。可愛い奥さんに可愛いお子さん。」
「隣の芝生は蒼く見えるだけさ。」
奥さんは大学の同級生、去年双子のお子さんが産まれて幸せ真っ盛り。
「またまた〜、ご馳走様です。」
そう言って頭を下げ、自分のデスクに腰を下ろした。
「…あれ?…こんなとこに入れたっけ?」
引き出しを開けるとペン立てに置いているはずのハサミが出てきて首を傾げる。
…一昨日はバタバタして帰ったから適当に片付けちゃったんだな。こういう適当さからミスを招くんだよね。
ハサミを定位置に戻し、「よし!」と気を引き締めた。
「あ、すみま…あれ、北さん?」
「お、Aちゃんだったか?大丈夫、足踏んでない?」
最寄りのスーパーでぶつかったのは意外な人。
買い物カゴを持っていて、その中には子供向けのお菓子が沢山入っていて微笑ましい気持ちになる。
「北さん、お住まいは北区「嫁さんの実家がこの近くでね、実は…」」
「奥さんに赤ちゃん!?うわぁ、おめでとうございます。」
「うん、ありがとう。」
照れ臭そうに微笑み、「また明日ね。」と別れた。
「お、居た。今の人は?」
「…目が怖いよ。」
スーパーまで迎えに来てくれた剛は怖い顔をして聞いてきた。
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作者名:fugurifurifuri0 | 作成日時:2020年9月9日 15時