14話目 ページ14
「…え?無い…何で?」
会社のロッカーに入れておいたスペアの下着が無くなっている事に気が付いた。
ロッカーのスペアキーは部長が所持していて他の人は触る事出来ないはず。
…部長に…相談してみよう。
「あの、部長。少し良いですか?ロッカーに入れていた私物が無くなっていて…。」
「あなたもなの!?私の荷物も無くなっているし、他にも相談受けてるのよ。困ったわね。」
言葉遣いからお分かりの通り、部長は女性。下着を盗むというのは考えにくい。
「部長は何を盗られたんですか?」
「私はストッキングとヒールよ。」
「え、気持ち悪い…。」
他の人は靴下にガードル、主に身に付ける物を盗まれているという。
「こうなったら…仕方ない…わね。」
部長は深いため息をつき、受話器を耳に当てた。
被害者は小さな一室に集まり、警察が来るのを待っている。何にも悪い事をしていないのに、警察と聞くと身構えて緊張してしまうから不思議。
「あ、こちらです。」
ガチャリとドアが開き、受付の人の声が聞こえた。
「はーい、○△警察です。失礼しまーす。」
「後程1人1人お呼びしてお話を聞かせてもらいま…ぶっ?」
…話の途中でぶっ?て…おかしくない?変な人が来たんじゃ…。
訝しげにドアの方を見ると…そこに立っていたのはまさかの剛と源で…。
「う…そ…。」
こっちを見ている二人と目が合ってしまい、さりげなく視線を外した。
「あ、あぁ、すみません。後程お呼びしますので…よろしくお願いします。」
二人に向かって皆がお辞儀をしたので私も慌てて頭を下げる。
暫く待っていると別室に個別で呼ばれ始め、戻って来た人達が口々に「カッコ良かったー。」と嬉しそうに話す。
「パーマの刑事さん、笑顔がすごい可愛かった。」
「え、そうかな?私はもう1人の人が良い〜。」
…カッコ…良い?二人ってモテるん…だ?
他の人がコソコソ話してるのを聞いていると何となく不愉快な気持ちになってきて、廊下に出ようと席を立った時に名前を呼ばれてしまった。
咄嗟に「嫌だな。」と呟いたら同僚に「怖くないから大丈夫だよ。」と励まされてしまう。話すのが怖くて嫌がってるように見えたらしい。
「う、うん…。」
「ほら、行っておいで。」
肩をポンと叩かれ、私は渋々二人が居る部屋へ。
「あ、あー!悪い、ちょっと車から俺のカバン取ってきてよ。」
私の顔を見るなり剛は、部屋の隅に立つ制服を着た人に「お願い!」と両手を合わせた。
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作者名:fugurifurifuri0 | 作成日時:2020年9月9日 15時