甘い…生活？ (ページ13)

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13話目ページ13

「気分悪いとかは…ないか？」

「気分は悪くないよ。どうして？」

源は私の説明には答えず、硬い表情で自室に入っていった。

「Aが口を付けたお茶、薬が仕込まれてたんだよ。」

「えっ？」

「…働いてる女の子を昏睡状態にして弱味を握るってタレコミがあって…ま、容疑はそれだけじゃないんだけどね。」

「でも飲んでな「少量で効果が出るように高濃度にしてたんじゃないかな？」」

唇に付いたのを舐めた程度でこんな状態になるなら…勧められるままに飲んでいたら…。

背筋がゾワッとして私は口を押さえた。

「まさか面接の子にまで薬を盛るとは思わなかったから。俺らの捜査不足だった。危険な目に合わせてしまって…本当にごめん。」

肩を落として項垂れ、そのまま黙り込んだ。

暫くすると源はスマホを手にして戻ってきて、私を強く抱き締める。

「俺がもっと具体的に気を付ける点を伝えておけば…自分に腹が立って仕方ない。最低だ。」

源の上から剛も抱きついてきて、交互に何度も謝まられた。

「薬の半減期…？」

「詳しい奴に聞いたから間違いない。即効性があって早く抜ける種類の薬の可能性が高く、推測した薬に間違いがなければ効能は半分程度になってるらしい。」

「効果のピークは過ぎてる…って事なんだね。」

剛は時計を見て頷き、また悲しい目をする。

「もう大丈夫だからそんな顔しないでって言ってるでしょ？ね？」

うん、と頷いてはくれるものの、二人はしょんぼりとしていて…元気がない。

確かに押し切られた部分はあるけど、最終的に協力すると決めたのは私なのに…。

この日は宅配で夕食を簡単に済ませ、二人は早々に自室に戻った。

翌朝、普段通りに起こしに行くとまだ落ち込んだ様子で抱きついたりして来ない。

気持ち悪いくらいに素直に起きた二人。

「も、もう！いつまで落ち込んでんの？ほら、いつもの…してよ！」

「「え？」」

「おはようのハグ…して！」

ベッドの間に立って大きく両手を開いた。

二人は戸惑った表情で私を見上げている。

業を煮やした私はこっちから「えいっ！」と腕を伸ばして抱き寄せた。

「寂しい…よ。恒例のがないと調子狂うから。」

「さ、寂しいって…嫌がってるのは誰だよ？」

「いつも離してって、起きろって大騒ぎしてるくせに。」

「ね、勝手だよね。」

笑いながら言うと二人は頷き、しっかりと私を抱き締めてきた。