2008年12月�� ページ18
「不器用なりに大事にしようと試行錯誤してんの。
じゃなかったらオレにこんなの頼んだりしねえよ」
「なにこれ？」
「御守り」
千代紙で作られた小さな箱は振ると中で何かが転がる音がする。
五条の以来で作られた"御守り"は見た目は子供が作る折り紙の作品だが、その仕掛けは結構細かい。
箱の内側にはビッシリと呪文が刻まれている。
中には大堰の術式を刻み、呪力を込めた核が入れられている。開くことは出来ない仕様になっているが、ある種の呪物な訳だ。
「部屋ん中に置いときな。
1級は時間稼ぎぐらいにかならねえけど、大抵の呪霊は入れない様になってる」
「胡散臭い」
「そー言うなよ。気持ちは分かるけど。
悟に頼まれたからな、結構ちゃんと作ったんだぞ」
そう言われても簡単に信用出来るわけもなく、恵は箱を持ち上げてみたり振ってみたりと慎重に見定める。
その姿がどうにも、新しいオモチャを品定めしている子供の様に見えて笑い声が溢れた。
「オレの術式だから、オレが死ぬまでは有効だ。
まあ、好きに使えよ」
「…お茶、飲んでかないの」
「オレも行きたかねえけど仕事なんだ、悪いな」
初めの警戒心は何処はやら。
袖を引く恵は寮から人が居なくなる時の双子と同じ顔をしていた。
「なんかあったら連絡しな。悟よりは通じるはずだ」
恵と津美紀、2人の頭を撫でてアパートを出ると今にも泣き出しそうな黒い雲が垂れ下がっていた。
雨か、そろそろ雪も降るだろうか。
「他人の空似にしちゃあよく似てたけど、人間そっくりさんが3人いるって言うしなあ」
昔、世話を焼いてくれた兄の様な人が居た。
息苦しい本家で逃げ道をくれた人。
悪さも色々教わったが、あの人がいなければ今頃自分は雪の下で冷たくなっていたかも知れない。
いつも嫌々連れてこられていたが、何処の家の人だったか忘れてしまった。
「いつから会ってないんだっけかなあ…
まあ、死にそうにもねえしどっかで生きてんだろうけどさ、とーじくんは」
軽やかな音の割に表示された名前に意識せずとも眉間の皺が深くなる。
「はーい、おーいでーす。
はあ、今向かってますからもーちょい待ってくださいよ。
…え？いやだなあ、悟じゃあるまいし遅れたりしませんって。はい、はい…はーい、了解です」
さあ、お仕事しますか。
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トト(プロフ) - 梅チョコさん» ありがとうございます。細かいところまで読んでいただいて、感激です。お楽しみいただけるよう頑張ります。 (2021年3月20日 10時) (
レス) id: 2fbe74351e (このIDを非表示/違反報告)
梅チョコ(プロフ) - シリーズ完結おめでとうございます。ストーリーは勿論、トトさんが所々間に入れられる情景描写が好きでした。引き続き番外編も楽しみにしています。 (2021年3月20日 0時) (レス) id: 89e33c10ef (このIDを非表示/違反報告)
トト(プロフ) - サクラさん» おわー沢山ありがとうございます。主人公くんは勝手に喋ってくれやがるので如何削減するか困りましたが、楽しんでいただけたなら何よりです。リクエストにつきまして、パパ黒とのお話はいつか書きたいと思っているので気長に待っていただけたらと思います！ (2021年3月15日 0時) (レス) id: 2fbe74351e (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - 長文駄文、大変失礼しました‥。貴方様にこのほとばしる想いを伝えたくて‥！字数が足りず４回に分けて投稿させていただきました‥！ (2021年3月15日 0時) (レス) id: 68e1c7d112 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - リクエストとしましては、やはりこのまま本編ルートに進んでほしいなぁ‥と思いますし(傑が離反してないので厳しいかな‥)、主人公君とパパ黒の過去話なども読んでみたいです！とはいえ、一つの区切りとしてここまで書いていただきまして、ありがとうございます！ (2021年3月15日 0時) (レス) id: 68e1c7d112 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：トト | 作成日時：2021年2月25日 21時
