Another Time

【稜雅】甘えて ページ7

【稜雅】お願いだから Another story

自分では、頑張ったつもりだった。

精一杯、やったつもりだった。

だけどそれはたった一言で踏みにじられて、

何も知らないくせに

上司は全部わかったようなことを言って。

自分に非があったことは認める。



だけど、

それ以上にその言葉は惨酷で、

私を潰すには十分な言葉だった。



「･･･ただいま」

『おかえり、お疲れ様』

「っても、まだ2週間あるけどね」

稜雅くんの優しさをあの上司みたいに踏みにじってしまう。

こんなの、ただの八つ当たりじゃん。

情けない。

続けて何か言おうとしてる彼を避けて部屋に行く。



普段ならすぐに着替えて行くのに
今日だけはどうもできなくて

ドアを閉めた、瞬間その場に座り込む。

さっきまで堪えてた涙が止まらない。


嗚咽が聞こえないように

必死に

声を殺して


ひたすら泣いた。



『A？』

どのくらいたったんだろう。

『A、開けてもいい？』

稜雅くんは優しいから、勝手になんて開けてこない。

このままでは稜雅くんを困らせるし、
私自身このままじゃいられないし。

ゆっくり立ち上がり、渋々ドアを開ける。

なるべく顔を見られないように俯く。


稜雅くんは壊れ物を扱うようにそっと抱きしめてくる。

『俺はさ、Aのこと全部わかんないけどさ

　頑張ってるところはちゃんと見てるから

　うまく言えないけど、泣きたいときは一人で抱え込まないで？』


そんなこと言われたら

あなたの優しさに甘えてしまう。

あんなに泣いたのに、

彼の胸に顔をうずめて手を背中に回す。

「りょうが…くん･･･」

私の頭を優しくなでれば同じように背中に手を回す。

『俺がダウンしてつらかったときに支えてくれたでしょ？
　だから俺も支えたい』


「ありがとう…」

うん、と頷ずけばそっと頬にキスを落とす。



たまには、いいかな。なんて。

【稜雅】勘違い #1→←【稜雅】これからも #4

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す