Another Time

【祐基】また、いつか #2 ページ16

日曜日。


私は地元を離れて関西の学校に行く。



この見慣れた景色とも


祐基とも


今日でお別れだ。





『A〜！』

駅に着けば

ふと聞き慣れた声が聞こえた。


笑顔で手を振る祐基の姿。



「祐基！来てくれたんだ」

私、ちゃんと笑えてるかな



『うん、もちろんだよ』


いつもみたいに笑ってるみたいだけど


わかっちゃうんだ。


無理してるって。



祐基も


私も。





電車の時間まで駅にあるカフェで時間を過ごした。


いつもなら他愛もない話をいっぱいするのに

今日に限ってどちらとも口を開かない。


やだよ、気まずいままお別れなんて。


頼んだ料理がきても
何も話すことなく時間は過ぎ、


あんなに長く感じたのに


お別れまであと20分。





祐基はわざわざホームまで見送りにきてくれた。


卒業式の日みたいに手を繋いで

人少ないホームで

電車を待った。


なんだか


世界に二人っきりなった気がした。


あの日見た

夕日のときみたいに。

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