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別に可愛い子ぶっていたわけじゃない。
彼がいなくなって丸一日。Aは孤独を苦々しく味わっていた。おかえりを言う人も、一緒にご飯を食べる人もいなければ味気ない。気づけば自分はすっかり贅沢者になっていたらしい。だから彼の声を聞けるというのは、今日一番の贅沢なのだ。

『なぁんですかもう。言わなきゃよかった』

「ふふ、怒ってるのか?俺は素直に嬉しいんだがね。じゃあ行ってくる」

『はい!ハバナイスデー』

「そう言うお前はもう寝る時間だろ?おやすみ。良い夜を」

ちぐはぐな挨拶を交わし、ぷつんと電話が切れる。とりあえず疑問については待ってあげることにしたんだし、もう寝てしまおう。そう思い携帯を枕元に置き、そのままぼふんと音を立てて枕に向かって飛び込めば、そのまま眠りについた。



───ヴーッ!ヴーッ!

『……ん゙〜……あと50分弱……』

朝日が差し込んだベッドの上。
Aは携帯の着信のバイブレーションの不愉快さで目を覚ました。ベッドの上をのたうち回るが、携帯が鳴り止む様子はない。

───ヴーッ!ヴーッ!

『うるっさいなぁもう…はぁい、だれ?』

ようやく携帯を手にすると、ベッドの上でもそもそと起き上がって話しかけた。

「Hello?」

『ん…あれ、しゅーいちさん?』

Aは相手が赤井だと分かると、途端に不機嫌顔がへらっとした気の抜けた笑顔に変わる。

『どうしてこんな時間に?もしかして昨日の質問の続きですか?あ、そっちってまだ……ひいふうみい…夜の、7時?くらいか』

「……声が、聞きたくなった。じゃダメか?」

普段よりゆっくりで、呂律もあまり回っていない声。酔っ払っている状態だというのはすぐに分かった。
あの人酔っ払ったりするんだな。いや、ひょっとしたら不思議な夢を見ているのかもしれない。いや多分きっと夢だ。あの人が酔っ払って、しかもその状態で電話をかけてくるなんて全然想像できないし。

『あはは。昨日の私と一緒ですねー』

現在朝の8時過ぎ。休日の起床時間としてなら平均的な時間だが、絶望的に寝覚めが悪いAにとってはまだ小一時間程寝ていたい頃合いだ。彼女はこの状況を完全に夢だと判断し、再びベッドに倒れ込んだ。

「……ああ、丁度良い。今朝よりいい話をしてやろうか」

『え、なになに?』

「お前が好きだって話だ」

思わず口からフッと笑がこぼれる。
…こりゃまた随分と変わった夢だな?せっかく夢なんだし本心で返事してもいいだろうか。

『……嬉しいです。実はね、私も───』

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(プロフ) - 全部面白い!続き読んで見たいです!皆さん、頑張って下さい! (2018年9月24日 20時) (レス) id: 4b63d11e04 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 正直、どストライクです…!時間ごとにそれぞれの贅沢が詰め込まれていて、読んだことのない作品の主人公にもとても惹かれるものがありました。また時間を見つけて全ての作品を読ませていただきます。この上なく贅沢な時間をありがとうございました。 (2018年9月24日 17時) (レス) id: 4ee63399c0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:SNYZ | 作者ホームページ:https://twitter.com/nnn_zcn  
作成日時:2018年9月24日 16時

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