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【一旦アメリカに戻る】

Aはテーブルに置かれていた書き置きを読み上げた。OK、OK…一旦落ち着こう。胸に手を当てて軽く深呼吸をし、ゆっくりそれを手に取る。


『何事!?』


内容を理解した途端、思わずソレをグシャッと握り潰してしまった。おかしい。今朝の彼は全くのいつも通りだったのに。まさかホームシックか?
慌てて携帯を取り出し連絡網から彼の名前…赤井秀一を探し出した。五十音順での赤井を探すのはかなり楽だと思う。


「…Hello?」

『何がHelloですか、もうとっくに夜ですよこのニット帽野郎がーっ!』


赤井はあらかじめ距離をとっていた携帯を、更に耳元から無意識に遠ざけた。こうなるだろうと予想していたにしろ、耳元で声を張り上げられるのはなかなかツラいものがあるらしい。


『なんでいきなり居なくなっちゃうんですか!びっくりしたでしょうが!』

「書き置きはしたぞ」

『それは見ましたけど…なんで突然アメリカに?ホームシック?』

「誰がホームシックだ。いい加減こっちにも顔を出してこいと同僚達が煩くてな…後は組織に関しての本部への報告だ」

『ほぉ。ちなみに今どこにいるんです』

「空港」


よくよく耳をすませば確かに空港特有のアナウンスや人のざわめき声が聞こえる気がする。止める理由も必要も無いと悟ったAは長いため息をついた後、こう言った。


『……なるほど、理由は分かりました。けど!もっと前からちゃんと言ってくださいよ。そうだ京都に行こうのノリじゃないんですから』

「前もって言うとついて行きたいって言うだろ、お前」

『だっ…ダメなんですか!?確かに私には過ぎた贅沢かもしれませんけど、行ったことないからいいなあって…ハッ、まさか、別の事件の捜査に行くんじゃないでしょうね!?』

「まさか」


そんな訳ないだろう、と半笑いで返事をする赤井の声を聞いて、Aはとりあえず胸を撫で下ろす。


『……ん、待てよ?報告なんて、日本にいたメンバー全員で帰ってやればいいじゃないですか。ホントは理由が別にあるんじゃないんですか?』

「……」

長い沈黙が続く。実際には1、2分程度の事だろうが、それが電話先の彼にとってどういう意味をもたらしているのかはAには分からなかった。


「A…今は待っててくれ。帰ったら、ちゃんと話す」

『え?』

「そろそろ搭乗時間だ。向こうに着いたらこちらから連絡する」

『ちょっ…!?』


無慈悲にもツー、ツー、と通話が切れた携帯を片手に、Aはポツリと呟いた。


『もう。なんなのよお、一体……』

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(プロフ) - 全部面白い!続き読んで見たいです!皆さん、頑張って下さい! (2018年9月24日 20時) (レス) id: 4b63d11e04 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 正直、どストライクです…!時間ごとにそれぞれの贅沢が詰め込まれていて、読んだことのない作品の主人公にもとても惹かれるものがありました。また時間を見つけて全ての作品を読ませていただきます。この上なく贅沢な時間をありがとうございました。 (2018年9月24日 17時) (レス) id: 4ee63399c0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:SNYZ | 作者ホームページ:https://twitter.com/nnn_zcn  
作成日時:2018年9月24日 16時

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